2022年1月5日による那須サファリパークのにおけるベンガルトラに飼育員が襲われる事故について、どうやら要員体制上、厳しい現実が浮かび上がってきているそうです。

動物飼育は24時間365日に体勢をひく必要があります。土日はないですし、ましてや、春休み、GW、夏休み、SW、正月、冬休みの休みはもちろんないですし、休みはむしろ書き入れ時になるはずです。

那須サファリパークの飼育員は全部で18人、週休2日とすると、1日は12人程度の要員になるそうです。

那須サファリパークの動物の種類は70種、700頭羽であり、単純で要員数で割ると、1人当たり6種、60頭羽になります。

急に病気や用事で休んだりしますので、12人以下の体勢となることもあるでしょう。要員の経験や飼育スキルによって、担当する動物の数も上下するのではないでしょうか。

そして飼育。食事を与えて、動物の状態を確認して問題ないかどうか?、排泄物の掃除、動物を飼育舎と運動場へ移動させたり、飼育環境の整備も行うでしょう。そして、新しい動物がくる場合の準備、繁殖の準備、産卵の補助、動物の子供がいたら保育、今回の事故までいかなくても、動物同士のトラブルなんてしょっちゅうだと思います。

動物の状態を確認して異常があった場合は獣医師に連携して、治療になりますので、健康な時と別の飼育環境を準備して、エサの与え方も違うでしょうし、薬も与えることもあるでしょう。これは場数を踏まないと、いくら動物好きで勉強をしているからといって、なかなか仕事をこなすのは大変だと思います。

そして、しっかりと飼育記録を残し、別の担当者に引き継いだり、ミーティングがあれば、そこで「ああだ!こうだ!」と議論して飼育を手探りですすっめるということもあるでしょう。

飼育員が襲われる事故の原因はヒューマンエラーしかありません。

動物園でなくても、工場や建築現場、そしてオフィスの作業などでもヒューマンエラーによる対処は、最終的に人員を2名にするしかありません。インシデントや障害、事故の教訓から、多くの現場では2名体勢になっていると思います。飼育員の命が脅かされる動物園なら猶更でしょう。

要員を2名体制にすると、どうなるかといいますと、人員コストが2倍になります。この人員コストを圧縮する為に、いわゆるワンオペが存在するのです。

危険性の高い動物がいるなら、12名体制は少ないということです。実質6グループで1グループ120頭羽を担当することになりますので、殺人的なスケジュールなのではないでしょうか。

動物園を運営となりますと、動物やお客を喜ばせる設備投資などにどうしても優先になりがちになりますので、どうしても運営を支えるスタッフへの優先が低くなるのは否めないのかもしれません。


❖今回の事件について語る

最後に、日本にいる動物を中心とする先進的な動物園をつくった富山市ファミリーパークの元園長、山本茂行さんの見方を紹介したい。山本さんは10年から14年まで、日本の主要な動物園・水族館が加盟する日本動物園水族館協会(JAZA)の会長も務めた。この事故については厳しく受け止めている。

 「野生動物を飼育する施設には、やっていいこと、いけないことの基準がある。その基準によって今回の事故も判断されなければならない」

 そう基本的な考え方を明確にした上で、那須の事故についてはこう述べる。

 「入って数年の人たちだけで飼育現場を担っているとしたら、指揮・報告系統も責任体制も満足に構築されていなかったのかもしれない。動物を飼うまっとうな仕組みはできていたのか。報道によれば、夕方、動物を獣舎に入れたという確認をしていない。

朝になって、獣舎にいるという確認もしていない。分からない中でエリアに入っているようだ。人が少ない中での飼育管理が常態化していた可能性がある。もしそういうやり方なら、経験の浅いスタッフ18人でも、何とか現場は回せるが、それでは幅広く奥の深い飼育係の仕事は実現できないだろう」


今回の事故につきまして、原因究明がされて、抜本的な対応がとられて、飼育員の方が安全に動物の飼育をできることを願ってやみません。



※最後に
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