4月23日に知床観光船「KAZUⅠ」が沈没した事故では、まだ12名の方たちが見つかっておりません。しかしながら、国後島に漂着していてDNA鑑定待ちであった2名の方が、沈没した船に乗っていた乗客であることがわかりました。

国後島遺体 “船上プロポーズ”女性とDNA型一致(2022年6月24日)

北海道・知床半島沖で発生した観光船沈没事故で国後島で見つかった2人の遺体について、甲板員の男性と乗客女性のDNA型と一致したとロシア側から日本側に連絡があったことがわかりました。

国後島の西岸で先月見つかった男女2人の遺体については、日本側は今月9日に複数の乗船者のDNA型情報を送っていて、ロシア側が鑑定を進めていました。

海上保安庁によりますと、ロシア側は23日、この2人の遺体が乗船者のDNA型と一致したと外交ルートを通じて日本側に連絡してきたということです。

政府関係者によりますと、DNAが一致したのは甲板員の曽山聖さんと北海道北見市在住で一緒に乗っていた男性からプロポーズを受ける予定だった20代の女性で、すでに家族に伝えているということです。

今後、遺体の引き渡しにむけて時期や方法などを外交ルートを通じて調整します。

引き渡し後には、海上保安庁があらためてDNA鑑定し身元の確認を行うということです。

北方領土4島地図

もちろん生きていたらというのが願いだと思いますが、どんな形であれ見つかってよかったと思います。プロポーズされる女性は先に発見されました男性の元に戻れるのですから。

甲板員の方もご家族の元に戻れます。当人は4月入社の初めての出港でこの事故ですから、やりきれないと思います。

残りは船長1名、乗客9名の10名となりました。

海流から択捉島(えとろふとう)まで流れていることもありえますが、そこで漂着しないとなると、発見はとても厳しいと思います。

❖現在の不明者の状態は..。

現在、発見されていない10名の方々は、大変厳しい状態になっていると思います。

人間は溺死してしまうと状態が変化していくからです。

人が死んでから水に入れると水に浮きます。これは肺に空気が入っているからです。

ただ溺死体では違っており、まず沈みます。

これは逆に浮き袋となる肺が水浸しになるからです。

そして、水の中の死体は腐敗するとまず顔から腐敗が始まり、角膜が濁ります(死後3日ほど)。そして皮膚と身体の間に水が入って皮膚が真っ白になっていきます(水死後3日で葬儀屋さんがご遺体との対面をオススメしないレベルになります)。

死後2週間ほどで手足の皮膚が簡単に剥がれ落ちはじめ、やがて腐敗ガスにより全身が膨らみます(巨人様化といいます)。

そうなるとガスによる浮力が生じます。そうして溺死し沈んでいた死体も時間が経つと再び浮かんできます。

ただし、その浮かんでくるまでの時期は腐敗ガスの量に左右されます。つまり腐敗が早く進めば腐敗ガスも早く発生し、浮かんでくるまでの期間も短くなります。

従って、水深が深いと多少の腐敗ガスくらいでは浮上しにくくなります。

浮上しない条件は以下の目安もあります。

・水深10mなら水温11℃以下
・水深20mなら水温13℃以下
・水深30mなら水温14℃以下
・水深40mなら通常の水温では浮上しない

その後冬場だと死後3週間ほどで頭の髪の毛が自然に抜け落ち、死後1ヶ月ほどで頭蓋骨が一部露出します。皮膚に水苔や藻がついてそれらが繁殖した死体もあります。

死後1ヶ月たつと死蝋化といって、身体が石鹸のような様態になります。腐敗の過程でカニやフナムシなどに蚕食されていることも多いです。

腐敗が進むにつれて顔判別も難しくなっていくので、最終的には顎の組織から歯を採取し、生前記録である歯のカルテやX線検査との比較照合で個人を識別します。

すでに死蝋化しておりますし、沈んでいることも予想されますので、非常に発見が難しく、発見されてもDNA鑑定含めて法歯学(※)による身元判定となります。

※犯罪に関連するご遺体や生体試料からの個人識別はもとより、近年多発する大事故や大災害での歯科所見による身元確認という、社会的に重要な任務を担っている。 特に、平成24年6月に死因究明二法といわれる法律が成立して以降、個人識別に関する研究、鑑定および教育の推進がさらに求められるようになった。



※最後に
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