◆はじめに

マイナ保険証への一本化 として、2024年12月2日(※)から現行の健康保険証は新規発行を停止し、原則廃止となります。

※実際は2021年3月から順次導入されており、厚生労働省によると、2024年9月のマイナ保険証の利用率は13.87%です。

2015年に運用開始となりましたマイナンバーカードですが、マイナンバー制度も目的は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤です。 マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されます。

と、これは行政の話。

国民としては、上記の情報に加えて銀行口座などの財産も行政に把握されて、管理される社会に恐怖があるのです。

行政としては、是か非でもマイナンバーカードを普及させたいために順次機能を拡大していっており、マイナンバーカードは所持することは義務ではありませんが、持たないと不便な状況になっていっています。

この度、保険証の機能がマイナンバーに統合されましたので、マイナンバーを持たないと医療補助が受けられない=義務にようになってきました。

マイナンバーカードの目的
 日本ではこれまで、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号など様々な番号が、各行政機関によって発行されてきました。

1人が一つの番号を持って各行政サービスを受けられる仕組みになっていないのは、先進国としては、実はかなり珍しい国でして。年金や健康保険、税金がバラバラに「縦割り行政」によって管理されています。

そこで「縦割り行政」では、非効率なので、共通番号で全てのサービスを一元管理できるするのがマイナンバーの目的です。

マイナンバーカードでできること
マイナンバーカードを所持して国民が恩恵を受けるサービスは以下の通りです。

❖本人の証明書になる
 マイナンバーの提示が必要な様々な場面で、マイナンバーを証明する書類として利用できます。そして提示と本人確認が同時に必要な場面では、1枚で済む唯一のカードです。

❖コンビニで住民票の写しなどの公的な証明書を取得できる
 コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得できます。

❖健康保険証として利用できる
 2024年12月2日以降、健康保険証は新たに発行できなくなりますので、事実上の運用開始日です。
ただ、マイナンバーカードを利用できる施設(医療機関・薬局)は限られていますので、どの施設でも対応できるわけではありません。対応する医療機関・薬局は順次拡大していきますが、しばらくかかりそうです。

マイナンバーカードでできるようになること
❖証券口座開設など民間のオンラインサービスで使える(一部実現)
 マイナンバーカードがあれば、オンラインでの契約や取引が行えるようになります。具体的には、オンラインバンキングや証券口座の開設、住宅ローンのオンライン契約などです。
また、マイナンバーカードを保有していることでマイナポータルを利用できるようになり、一時保育や介護申請などの行政の手続きもオンラインで完結できます。

❖運転免許証として利用できる
 マイナンバーカードと運転免許証が一体化した「マイナ免許証」が2025年3月24日から運用開始します。マイナンバーカードのICチップに顔写真、免許証の種類、有効期限などを記録させます。

マイナ免許証にすることで以下のようなメリットがあります。

 ・住所・氏名変更時、警察への変更申請が不要(市区町村への届け出のみ)
 ・優良・一般運転者の免許更新時の講習がオンラインで受講可能
 ・マイナ免許証の取得・更新時、運転免許証よりも手数料が安い

マイナンバーカードの普及率
本人確認書類として多く活用されていた運転免許証の保有者数が約8,1360万人(令和5年:令和6年4月15日掲載)となっている一方で、マイナンバーカードの累計交付枚数は約1億2740万枚(令和6年10月27日時点)となっています。

マイナンバーカードの普及率は、すでに運転免許証を超えているのです。

マイナンバーカードと健康保険証の統一と有効期限
現行の健康保険証が2024年12月2日より新たに発行されなくなり、マイナンバーカードが事実上の運用開始となります。

自分が所持している健康保険証は、最長1年間有効です。

協会けんぽの有効期限はありませんが、「資格確認証(医療保険者(※)から郵送)」発行から1年間です。

※医療保険制度の運営、実施主体を指し、健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ)、市町村国保、国民健康保険組合、共済組合等を言います。

国民健康保険証の有効期間は、原則として1年間で、毎年8月1日から翌年7月31日までとなっており毎年7月中旬に新しい有効期限の保険証を簡易書留で郵送されてきますが、2025年7月31日が最終有効期限となています。

マイナンバーカードを健康保険証として利用するには
マイナンバーカードを利用するには以下のステップを踏む必要があります。

ステップ①:マイナンバーカードの申請
 以下の方法で申請します。
  ・パソコン、スマートフォンから申請する。
  ・郵便で申請する。
  ・証明写真機から申請する。

ステップ②:マイナンバーカードを健康保険証として登録
 以下の方法で登録します。
  ・医療機関、薬局のカードリーダで登録する。
  ・マイナポータルから登録する。
  ・セブン銀行ATMから登録する。

ステップ③:医療機関、薬局でマイナンバーカードを使用
 以下の方法で健康保険証として使用します。
  ・顔認証つきカードリーダにマイナンバーカードを置く。
  ・本人認証を行う(顔認証、暗証番号)。
  ・各種情報提供の同意選択をする。

マイナンバーカードの健康保険証は解除できる
マイナンバーカードの健康保険証は、上記の方法で登録しないといけませんが、その後解除できます。

登録したものが解除ができる理由としては、マイナンバーカードの情報(他人の情報、情報抜け)が誤っている、顔認証や各種情報提供の同意選択などのエラーが出るトラブルが全国で相当数出ています。エラーが出ると一からやり直しになります。利用者には面倒この上ないですね。

結局「資格確認証」で代替することになるのですが、いちいちマイナンバーカードと資格確認証を一緒に持って行かないといけません。

「資格確認証」がない場合、窓口ですったもんだが起こる場合が結構あり、結局、医療費十割負担で後から清算となります。

また、そういう時に事情を説明しても埒が明かずという場合もあるようで、一人の患者の受付に非常に時間がかかるというケースがあると沢山報道されています。

また、セキュリティを重視する人、個人の病歴を知られたくない人も潜在的にいます。

従来の健康保険証がまだ使えるし「資格確認証」でも保険診療が受けられるので、マイナンバーカード返納やマイナナンバー保険証の解除をするのです。

マイナンバーカードを取り巻くIT環境や運営はまだまだ不十分なので、しばらく様子を見る人も多いのが現状です。

マイナンバーカードの解除方法
保険者に対して申請をすることで、マイナンバーカードの健康保険証等の利用登録を解除することができます。

マイナンバーカードの保険証紐づけの「登録解除」は、2024年10月28日から可能になりました。

解除申請は、加入している医療保険者(国保は自治体)などが窓口となるが、それぞれの対応が異なります。

「受付開始時期」や「申請書類の入手・提出方法」なども、医療保険者(国保は自治体)ごとにバラバラなのが実情です。

登録は簡単でも解除は面倒なのが現状なのです。

また、利用登録の解除後、有効な保険証がない場合には資格確認書の交付を受けることができます。

具体的な解除手続については、自身が加入している医療保険者(国保は自治体)に対して問合せとなります。

資格確認書の有効期限は最大5年
「資格確認書「の有効期限は最大5年だですが、医療保険者が自由に設定できるそうです。

自治体は、従来の保険証と同じ、一年ごとの更新で、期限が切れる前に新しいものが送られてきます。現状は自動更新の予定ですが、今後、国の方針によっては、その都度の申請が必要になる可能性もあります。

また、企業によっては健康保険組合で有効期限を3カ月に設定しているそうです。そうなりますと「資格確認書」を3カ月ごとに申請をするのは大変手間になりますので、マイナンバー保険証に切り替えてしまう方もるかもしれません。

面倒な手続きにすることで、マイナンバー保険証への利用切替へと誘導しているように思えます。

マイナンバーカードと健康保険証の紐づけの確認方法
マイナポータル(アプリ)で確認出来ます。
健康保険証のマイナンバーカード利用状況が「登録済」になっていれば、保険証利用申込済です。
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マイナンバーカードに健康保険証を紐づけないと医療は全額負担なのか?
2024年12月2日以降、現行の健康保険証の新規発行は停止され、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への移行が進められます。

しかし、マイナンバーカードをお持ちでない方や、マイナ保険証の利用登録をしていない方には、加入している医療保険者から「資格確認書」が無償で交付されます。

会社員の方が健康保険証を利用されている場合、協会けんぽから「資格確認書」が交付されることになります。

この「資格確認書」は、申請不要で自動的に送付される予定です。

ただし、交付のタイミングは医療保険者によって異なる可能性があるため、詳細は加入している健康保険組合に直接問い合わせいただくことをおすすめします。

2024年12月2日以降の保険診療時に「資格確認書」が手元にない場合でも、全額自己負担となるわけではありません。

医療機関の窓口で、保険者名や保険証番号などの情報を伝えることで、保険診療を受けることが可能です。

ただし、後日、医療保険者からの確認が必要となる場合がありますので、速やかに「資格確認書」を受け取り、提示できるよう手配しておくことが望ましいです。

さいごに
マイナンバー保険証の運用は、まだまだ試行錯誤であり、またIT環境も整っているとは言えません。マイナンバー保険証で窓口で手間取るよりも、しばらくは「資格確認書」で保険医療を受けていた方が無難かもしれません。

マイナンバーカード自体も、紛失や一時停止の24時間コールセンターなどのセキュリティの体制は整ってきていますので、マイナンバー保管証も5年もあれば改善されるかもしれません。気長に待つのも手ではあります。



※最後に
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