ペット専門国家資格「愛玩動物看護師」が4月に誕生へ…獣医療行為も一部可能に(2022年1月21日)

 獣医師を補助して獣医療行為の一部を担うペット専門の新たな国家資格「愛玩動物看護師」が4月に誕生する。ペットブームで医療ニーズが高まる中、政府は看護の質向上や獣医師の負担軽減を図りたい考えだ。

環境省によると、民間資格の動物看護師は全国に約3万人いるが、獣医療行為を一切できない。しかし近年、飼い主がペットを家族の一員として大切に扱うようになり、長寿化に伴って心臓や腎臓などに慢性疾患を抱えるペットが増加。高度な獣医療を求められる獣医師の負担が増す中、チーム獣医療の充実を図ろうと、2019年成立の愛玩動物看護師法で、愛玩動物看護師の導入が決まった。

愛玩動物看護師は犬猫のほか、インコやカナリアなどの鳥に対し、獣医師の指示の下、採血や投薬、カテーテルによる採尿、犬猫を個体識別するためのマイクロチップ挿入など、危険が比較的少ない獣医療を行うことができる。

第1回の国家試験は来月19日。合格者は4月から、愛玩動物看護師として働ける。受験資格は、愛玩動物看護師の養成課程がある大学・短大や専門学校などの卒業生、予備試験に合格した民間資格の動物看護師など。
看護師の医療範囲

何にせよ、国家資格で医療行為ができるようになるのはよかった
ペットブームといいますか、ペットを家族として一緒に暮らすということが人々の生活に根付いており、今後もますます医療ニーズが高くなることで、看護師さんの質向上や獣医師の負担軽減を図る目的で看護師さんの国家資格が制定されて、一部の医療行為ができるようになるとのことです。いい取り組みではないんでしょうか。

動物病院の人不足で深刻でして、どの病院も動物看護士さんは20代前半くらいの若い女性が多いんではないでしょうか。そして待遇が悪いので続かず、すぐに人が入れ替わります。人の医療行為と同様に動物の医療行為でも看護師さんは専門的な技術や知識も必要だと思いますし、そもそも動物好きでなければ続けられない仕事なんだと思います。

看護師の待遇も検討したほうがいい
私が動物病院に行った時の看護師の皆さんはとても親切でして一生懸命でした。どのペットにやさしく話しかけてくれるやさしい心の持ち主たちです。この職業を選択した人たちが一生の仕事としてスキルを磨いて生活していけな待遇、そして医療水準を保つための技術やコミュニケーションなどの勉強や、動物と接していてのリアリティーショックやメンタル不全(欧米での自殺率増加)などの対処など、看護師が健全に働ける状態にしてほしいと思います。

とにかく動物看護士の給与はとても安い(初任給22万円、年収304万円)水準です。看護師の給与を上げると動物病院の経営が成り立たないのかもしれませんが、高度な水準の医療ニーズが高まっている中で専門職としての看護師は必要性が増してきています。看護師の待遇改善まで踏み込んだ政策がほしいところです、

獣医療では民間保険はありますが基本的に自由診療です。人間のように保険診療がありません。動物看護師の待遇はその職場次第になります。

現在働いている看護師が国家資格を得ることに考慮が必要
国家資格ができるのは大変素晴らしいことです。ただし、長年、動物病院に勤務して来た民間資格の「認定動物看護師」が一般的でして、現在の看護師さんは、この資格を取得して業務に従事していると思います。

この「愛玩動物看護師」の国家資格ができたことで、実務経験はあるのに、試験の為の教材費、講習会費、受験料など、最初から勉強し直しとなり経済的にも労力的にも大変負担になると思います。

そして専門学校、卒業したばかりの20歳そこそこで実務経験は無いのですが、国家資格があり、待遇も国家資格があると給料に反映されて、ベテラン、中堅の方たちより給料が高くなる逆転現象もあり得るかもしてません。
そして、むしろ国家資格がないと動物病院で働けない、または職場を追い出されるようなことがあってはなりません。
更なるブラック化は避けないといけない
国家資格の登場により、採血や投薬など、獣医療行為の一部を担う人材が確保でき、獣医療の高度化で長時間労働が課題となっている獣医師の働き方改革にも期待がかかります。

獣医師たちは、診察の合間には入院中の犬猫の採血やレントゲン撮影に追われ、休憩時間は臓器摘出や抜歯などの手術に充てる。休診日も急患の対応で出勤することが多いそうです。

そして、最近の飼い主は病気の予防を目的に来院するケースが多く、「血液検査だけでは心配だから、レントゲンや超音波検査もしてほしい」と追加の診察を求められることもあるそうで。ある医院長は「診察数は10年前から倍増しているが、飼い主から頼まれれば、対応するほかない」と話しています。
飼育数は減少しているが、飼い主の医療ニーズは高く、農林水産省によると、ペットを診察する獣医師は2020年に1万6000人と10年前の1・2倍に増加しています。定期的な健康診断として、人間ドックのような「ドッグ・ドック」や「キャット・ドック」を勧める動物病院も現れています。

一方、全国に約1万2000か所ある動物病院の6割超は、獣医師が1人の個人経営。農水省の担当者は「動物医療の世界は日進月歩。飼い主が高度な医療を求めた結果、獣医師の負担は増している」と話しています。

厚生労働省の調査によると、獣医師の残業時間は21年、月21時間に上り、医師(15時間)や看護師(6時間)など、ほかの医療従事者より長いそうです。

愛玩動物看護師を目指して勉強中の看護師は「私が採血や採尿をできるようになれば、獣医師は別の仕事に集中できる。知識や技術を磨き、多くの動物の命を救いたい」と意気込む。とある院長は「今の仕事の2割ほどは看護師に頼めるはず。獣医師が少ない病院の恩恵はとても大きい」と期待を寄せています。

現在でも動物看護師の待遇は決して恵まれているとは言いがたい状況ですが、業務負担の増加によるブラック化は避けて欲しいものです。

国家資格と言っても様々な分野があり、必要性が?という資格も少なくありませんので、動物看護師もそのようにならない事を期待します。



※最後に
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