サメは孤独な存在ではない、6400kmもいっしょに泳ぐ2匹のホホジロザメ(2023年9月13日)
ホホジロザメ(Carcharodon carcharias)は孤独の放浪者であると昔から言われている。その巨大なサイズとパワー、特徴的な外見で知られる象徴的な捕食者はネズミザメ科に属し、現存する最大級の捕食性のサメだ。
沿岸水域や沖合を含む幅広い海洋環境で生息していることが知られており、全世界の温暖、時には熱帯の海域で見られる。国際自然保護連合(IUCN)によって危急種に分類されており、さまざまな脅威(乱獲、生息環境の悪化、偶発的な混獲など)に直面している。獰猛な性質でよく知られている一方、ホホジロザメには科学者が解明しようとしている多くの謎がある。他の生物との関係もその1つだ。
かつては、紺碧の海を縦横にさまよい生命維持と時折、交流(交尾のために)をする孤独な動物と考えられていたことが、サイモンとジキルと名づけられた2匹のサメに関する最近の発見をより興味深いものにした。
昨年12月、米ジョージア州海岸付近で、海洋生物学者らによって追跡装置を取り付けられたサイモンとジキルは、6400km以上におよぶ特別な旅に出た。歩調を合わせた彼らの回遊は大西洋を経由して北へと進み、7月後半にはケベック州付近のセントローレンス湾に達した。サイモンが最後に位置情報を発信したのは8月11日、ジキルは7月18日以来発信していない。
サメを追跡する組織であるOCEARCHの主任研究員であるボブ・ヒューター博士は、自身の驚きを表現して「彼らは異常なほど同調して北へ向かいました。このような行動は初めて観察されたもので、これは非常に興味深いものです。謎に満ちた胸躍らされる結果です」と述べた。
サイモンとジキルの不思議な行動は、ある興味深い疑問を呼び起こした。このサメたちは友達なのだろうか?
サメの社会的行動については他の動物ほど知られていないが、ある種のサメが社会的交流やグループ行動をさまざまなレベルで行ったことを示唆する証拠がある。たとえばオグロメジロザメ(Carcharhinus amblyrhynchos)は集団行動で知られている。研究によると、サメたちは岩礁の一部で比較的安定したグループを形成し、集団は数カ月から数年間続き捕食されるリスクを減らしたり求愛行動を行うなど、さまざまな目的が達成されていることがわかっている。
コモリザメ(Ginglymostoma cirratum)とネムリブカ(Triaenodon obesus)も、日中、グループを作って海底で休んでいるところが発見されており、接近して平和に共存するための寛容さを示した。ツマジロ(Carcharhinus albimarginatus)も群泳行動で知られており、特に海山などの海底でよく見られる。
ホホジロザメに関しては、データ追跡によって、アザラシの群生地など、ある種の海域での一時的な個体間のつながりが判明している。つまり、これはおそらく科学が捉えた友情関係なのだろう。ほかにも、タグをつけられていない別のサメがいっしょにいたのだろうか、あるいは、兄弟か異父母兄弟などの血縁関係はあるだろうのか?
この謎を解明するべく、OCEARCHの研究チームはサイモンとジキルに血縁関係があるかどうかを調べるために遺伝子検査を行っている。関係がどうであれ、2匹のこの前例のない行動をきっかけに、科学者たちは新たな探求の道を切り開き、この絶滅危惧種の理解をさらに深めようとしている。
「ホホジロザメは私たちが考えていたよりも複雑であることがすでにわかっています」とヒューターがDaily Mailに話している。「この発見は、サメの回遊における家族的、社会的要因にまったく新しい要素を付け加えるものです」。
さらにヒューターは、いずれも若いオスであるこのサメたちが、常に10~100マイル(16~1600km)の距離を保っていたことについても触れた。タグをつけられたジョージア州海岸付近の島、セントシモンズ島とジキル島にちなみ名づけられた2匹は、10~15歳と推定されている。
サメが社会的交流をしているかもしれないという発見は、科学研究においてだけでなく、保護活動にも役立つ可能性がある。サイモンとジキルの交友の発見はこの動物たちに「人間味」を与えるかもしれないとヒューターは信じている。いずれにせよ、サイモンとジキルはサメの社会的行動という未だほとんどが謎に包まれている分野に、価値ある知見をもたらすものだ。彼らのユニークな旅は、知識ベースに蓄積され、動物たちの理解をさらに深めていくものとなるだろう。
ホホジロザメ(Carcharodon carcharias)は孤独の放浪者であると昔から言われている。その巨大なサイズとパワー、特徴的な外見で知られる象徴的な捕食者はネズミザメ科に属し、現存する最大級の捕食性のサメだ。
沿岸水域や沖合を含む幅広い海洋環境で生息していることが知られており、全世界の温暖、時には熱帯の海域で見られる。国際自然保護連合(IUCN)によって危急種に分類されており、さまざまな脅威(乱獲、生息環境の悪化、偶発的な混獲など)に直面している。獰猛な性質でよく知られている一方、ホホジロザメには科学者が解明しようとしている多くの謎がある。他の生物との関係もその1つだ。
かつては、紺碧の海を縦横にさまよい生命維持と時折、交流(交尾のために)をする孤独な動物と考えられていたことが、サイモンとジキルと名づけられた2匹のサメに関する最近の発見をより興味深いものにした。
昨年12月、米ジョージア州海岸付近で、海洋生物学者らによって追跡装置を取り付けられたサイモンとジキルは、6400km以上におよぶ特別な旅に出た。歩調を合わせた彼らの回遊は大西洋を経由して北へと進み、7月後半にはケベック州付近のセントローレンス湾に達した。サイモンが最後に位置情報を発信したのは8月11日、ジキルは7月18日以来発信していない。
サメを追跡する組織であるOCEARCHの主任研究員であるボブ・ヒューター博士は、自身の驚きを表現して「彼らは異常なほど同調して北へ向かいました。このような行動は初めて観察されたもので、これは非常に興味深いものです。謎に満ちた胸躍らされる結果です」と述べた。
サイモンとジキルの不思議な行動は、ある興味深い疑問を呼び起こした。このサメたちは友達なのだろうか?
サメの社会的行動については他の動物ほど知られていないが、ある種のサメが社会的交流やグループ行動をさまざまなレベルで行ったことを示唆する証拠がある。たとえばオグロメジロザメ(Carcharhinus amblyrhynchos)は集団行動で知られている。研究によると、サメたちは岩礁の一部で比較的安定したグループを形成し、集団は数カ月から数年間続き捕食されるリスクを減らしたり求愛行動を行うなど、さまざまな目的が達成されていることがわかっている。
コモリザメ(Ginglymostoma cirratum)とネムリブカ(Triaenodon obesus)も、日中、グループを作って海底で休んでいるところが発見されており、接近して平和に共存するための寛容さを示した。ツマジロ(Carcharhinus albimarginatus)も群泳行動で知られており、特に海山などの海底でよく見られる。
ホホジロザメに関しては、データ追跡によって、アザラシの群生地など、ある種の海域での一時的な個体間のつながりが判明している。つまり、これはおそらく科学が捉えた友情関係なのだろう。ほかにも、タグをつけられていない別のサメがいっしょにいたのだろうか、あるいは、兄弟か異父母兄弟などの血縁関係はあるだろうのか?
この謎を解明するべく、OCEARCHの研究チームはサイモンとジキルに血縁関係があるかどうかを調べるために遺伝子検査を行っている。関係がどうであれ、2匹のこの前例のない行動をきっかけに、科学者たちは新たな探求の道を切り開き、この絶滅危惧種の理解をさらに深めようとしている。
「ホホジロザメは私たちが考えていたよりも複雑であることがすでにわかっています」とヒューターがDaily Mailに話している。「この発見は、サメの回遊における家族的、社会的要因にまったく新しい要素を付け加えるものです」。
さらにヒューターは、いずれも若いオスであるこのサメたちが、常に10~100マイル(16~1600km)の距離を保っていたことについても触れた。タグをつけられたジョージア州海岸付近の島、セントシモンズ島とジキル島にちなみ名づけられた2匹は、10~15歳と推定されている。
サメが社会的交流をしているかもしれないという発見は、科学研究においてだけでなく、保護活動にも役立つ可能性がある。サイモンとジキルの交友の発見はこの動物たちに「人間味」を与えるかもしれないとヒューターは信じている。いずれにせよ、サイモンとジキルはサメの社会的行動という未だほとんどが謎に包まれている分野に、価値ある知見をもたらすものだ。彼らのユニークな旅は、知識ベースに蓄積され、動物たちの理解をさらに深めていくものとなるだろう。
ホオジロザメに社会的行動があるかもしれないというニュースです。
海洋生物学者らによって追跡装置を取り付けられたサイモンとジキルは、6400km以上におよぶ特別な旅に出たそうです。
残念ながら、追跡装置の信号は途絶えてしまったそうですが、これほど長い距離を一緒に泳ぐことはないそうなのです。
サメと言いますと、映画『ジョーズ』に始まり、最近では絶滅したメガドロンが出てくる『MEGザモンスターズ2』での人食いというイメージが植え付けられていますし、Youtubeには閲覧注意のシャークアタックの動画があったりします。
そんなイメージが先行して、単独で行動して、どこからともなく現れ、攻撃を仕掛ける「捕食者」という感じでしかないと思います。
実際には、 500種類いると言われているサメの中で、危険な人食いサメは6種類ですし、シャークアタックもビーチによっては何十年に1回の運の悪い出来事として、亡くなられた人のニュースをききます。
ところが今、従来のサメの孤独なイメージが覆されつつあるのです。近年、世界各地のサメ研究者が、サメが集まって仲間づきあいをしていることを発見しているそうなんです。
米フロリダ国際大学の海洋科の研究チームが、2020年8月に学術誌「英国王立協会紀要B」に発表した論文によると、オグロメジロザメは何年も同じグループで過ごしていて、明らかに特定の個体と一緒にいることを好む傾向が見られ、なかには4年ものあいだ続いた「友情」もあったというらしいです。
2016年に科学誌「Scientific Reports」に掲載された論文でも、米国の東部沿岸に生息するシロワニ(ネズミザメ目のサメ)の間に、複雑な社会的ネットワークがあることが確認されています。こうした関係は、以前は、チンパンジーのような高等な哺乳類にしか見られないと考えられていたらしいです。
記録装置を取り付けられたサメたちは仲間と何千回も交流し、4日間も一緒に行動していたペアもいたのです。
この研究では、一部のサメが、たまたま一緒にいたわけではなく、明らかにお互いを気に入って一緒に行動していたこともわかっています。
サメがなぜ仲間づきあいをするのか、どの程度協力しあうのかを解明するのはまだ困難だが、餌の入手状況や気候変動による海洋の温暖化など、いくつかの手がかりがあります。
米カリフォルニア州では、1994年にホホジロザメを保護するようになってから個体数が回復し、南部の沿岸では記録的な数のホホジロザメ(主に幼魚)が確認されています。
ドローンを「スパイ衛星」として利用し、送信機を取り付けたサメを追跡した結果、2020年にサンディエゴからサンタバーバラにかけての沿岸で53匹のサメが確認されました。
サメがなぜ仲間づきあいをするのか、どの程度協力しあうのかを解明するのはまだ困難だが、餌の入手状況や気候変動による海洋の温暖化など、いくつかの手がかりがあります。
米カリフォルニア州では、1994年にホホジロザメを保護するようになってから個体数が回復し、南部の沿岸では記録的な数のホホジロザメ(主に幼魚)が確認されています。
ドローンを「スパイ衛星」として利用し、送信機を取り付けたサメを追跡した結果、2020年にサンディエゴからサンタバーバラにかけての沿岸で53匹のサメが確認されました。
ホホジロザメは通常9メートルほどの距離を保っていて、あまり仲良しには見えないが、彼らが気に入った海域に集まっているらしいです。
人間の子の遊び場や校庭のようなもので、サメの子たちがなぜこの遊び場にやってくるのか、何が彼らを引きつけるのかということです。
研究者たちは、いくつかの仮説を立てています。
・サメの好物であるアカエイが多いこと。
・大型のサメなどの捕食者から身を守ることができること。
・気候変動による太平洋の海水温の上昇に伴い、ホホジロザメがどんどん北上していること。
・サメの好物であるアカエイが多いこと。
・大型のサメなどの捕食者から身を守ることができること。
・気候変動による太平洋の海水温の上昇に伴い、ホホジロザメがどんどん北上していること。
バハマのビミニ諸島にあるビミニ・サメ研究所によると、サメが協力して狩りをするかどうかを解き明かすのは難しいといいます。例えば、オオメジロザメやツマグロ(メジロザメ目のサメ)など一部のサメは、餌となる魚たちが集団で一斉に産卵するときには数十匹も集まってきて、獲物を取り囲んでいるように見えることがあります。
問題は、サメたちが本当に協力しあっているのか、つまり、狩りの条件を最適化するために意図的にそれをやっているのかということです。たまたま大量の餌があり、それぞれのサメが食事をしに来ただけかもしれません。
今後数年間で、サメについて多くのことが明らかになっていくかみしれません。
問題は、サメたちが本当に協力しあっているのか、つまり、狩りの条件を最適化するために意図的にそれをやっているのかということです。たまたま大量の餌があり、それぞれのサメが食事をしに来ただけかもしれません。
サメの仲間づきあいには、これといった目的が見つからない場合もあります。ビミニ・サメ研究所は、若いレモンザメが明確な理由もなくほかの個体と仲良くしようとすることを発見したそうです。これまでの研究から、それぞれのレモンザメには個性があり、ほかの個体と一緒に過ごすかどうかに影響を及ぼしている可能性があることがわかっています。
研究チームが本来の生息地の中の外洋水槽でレモンザメの赤ちゃんを観察したところ、幅広い社会的気質が見られ、ほかの個体と頻繁に交流する社交的な個体もいれば、単独行動を好むつきあいの悪い個体もいることがわかっています。
今後数年間で、サメについて多くのことが明らかになっていくかみしれません。
※最後に
ご覧になられている記事は、内容の見直し、文章の誤り(誤字や不適切な表現)による修正で内容が更新されることがあります。
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