三男の死は未解明 収入源絶たれ困窮し一家心中か(2022年12月8日)

 東京都東村山市で今年5月、住人の一家4人が死亡した民家火災で、焼け跡から死後1年以上が経過した三男(30)の遺体が見つかった事件。警視庁は亡くなった4人のうち、誰かが放火して家族を殺害し、無理心中を図ったとみている。一家に何があったのか。困窮の末の選択とみられるが、「ほかに選択肢はなかったのか」。知人らは苦渋の表情を浮かべる。

火が放たれた際、一家4人は、2階のひと部屋に集まり寄り添うように横たわっていた。捜査関係者によると、まるでこれから訪れる「死」を全員が受け入れていたかのようだったという。なぜ、無理心中を図ったのか。

死亡したのは男性(65)と妻(64)、次男(36)、四男(26)。出火当時、長男は実家を出ていて4人暮らしだった。知人らによると、次男と四男は、いわゆる引きこもりで、新聞配達員をしていた男性とパートの妻の2人で家計を支えていた。

しかし、男性は2年ほど前に体調を崩して配達員を辞め、男性の看病に妻もパートを休まざるを得なくなった。一家の収入源は断たれ、関係者は「経済的に大変だったのだろう。四男はかなりやせ細っていた。食べるものもままならなかったのではないか」とみている。

一方で、一家には、周囲に隠し続けていた事情もあった。三男は1年以上前に病死したとみられるが、毛布にくるんで遺体を自宅に置き続けていたことだ。

三男がアルバイトをしていた釣り堀の男性オーナー(63)によると、三男との音信が途絶えたのは平成28年ごろ。「バイトを休ませてほしい」。見るからに体調が悪そうで、そう電話を入れてきたのが最後だった。

オーナーは受診を強く勧めたが、その1~2週間後には、三男が亡くなったという話が知人らの間で広まった。オーナー側は、しばらくして未払いのバイト代を支払おうと、三男宅を訪れたが、家族からは「(三男は)外出している」と言われ、暗に死亡を否定された。焼香したいと訪れた知人らも同様に門前払いされたという。

関係者は「経済的に困窮し、葬儀を出せなかったのではないか」と推察している。そして一家は三男の遺体と暮らし、収入源を断たれた末に無理心中した。生活保護などを申請していた形跡は確認できなかったという。「ほかに選択肢はなかったのだろうか」。知人らは、やり切れない思いを抱えている。

警視庁は三男について、生前に断食を続けたことによる衰弱死の可能性が高いとみているが、捜査で死亡の経緯や放置されていた理由はわからず、他殺の可能性も否定しきれないことから、三男の死亡についても容疑者不詳のまま殺人容疑で書類送検し、一連の捜査を終結する。

年末につらい事件(実際には5月の事件)です。長男さんだけが取り残されて、残り5人は、あの世に旅立ってしまいました。

このような状況に追い込まれてしまった発端は、やはり次男と四男のひきこもりですね。

これは長引けば長引くほど、ボディーブローのように徐々にダメージを受けていきます。若いうちはいいんですね。親も若く現役世代ですから、なんとか頑張って養えてしまいますし、まだ、子供もやり直しがきくということで、1年2年と時が過ぎていくんです。

しかしながら、大学、就職の年齢になってきますと、この日本という国では、なかなかリカバリーの効かないというか、やり直しのきかない年齢になってきます。ただ、それでもまだ親は現役世代でしょうから、なんとか養えてしまうんです。

そして、ひきこもりをしていても、例えば、スマートフォンによるSNSや動画、そしてゲームなど娯楽が充実していますので、長期間ひきこもっていようが「ひまだなぁー」ということもなく、楽しめて、嫌なことを封印することが容易なのです。

社会人の年齢になってしまうと、もう定年まで、ひきこもり一直線となってしまうことが多いでしょう。

ひきこもり自体は、家族で解決するのは非常に難しいです。家族としては世間様の手前、隠したがると思います。それでもとにかく何とかしなければ、とようやく重い腰を上げてしかる窓口にたどりついても、家族に対する暴力行為や、アルコール等の依存性もなく、緊急性が見られなければ、悩める親の会や集会、勉強会の案内をされたくらいでおしまいでしょう。挙げ句の果て、親自身が変わりましょう、と言われるのが関の山ですよね。

家族としては「溺れる者は藁をも掴む」思いで、何をどうすれば良いのかわからないから相談したいのですが、結局自分たちで何かしらの団体を見つけるしかないのが現状なのです。

変な話、この家族が金持ちだったら、いいんです。ひきこもっていても悠々自適に暮らせる財産があればいいんです。でも、一般家庭はそうはいきません。勉強してもらい、就職して、独り立ちしてもらわないと、親の自分は老いてしまいますし、子供にも、仕事を楽しくしてもらい、お金を稼いで趣味も充実、そして友達や恋人に恵まれて、子供を授かって、という人生を歩んでもらいたいのが、親の気持ちなのだと思います。

親は子供より先に死ぬ・・・

基本的に病気や事故でもない限り、親は子供より先に死にます。、従いまして、子供には、独り立ちしてもらわなくてはならないのです。この一つの考え方で、子供がひきこもりになっても、親の気持ちの持ちようは変わると思います。

ただ、鬱や発達障害などが関わってきますと、そう簡単には解決できない問題ですので、いずれにせよ国をあげて真剣に取り組まなければならない問題であります。

もう一つは、生活保護制度です。生活保護制度はこういう悲惨なことを防ぐためのセーフティーネットであるはずなのだから、状況次第では恥じることなく、堂々と受ければいいと思いますよね。

しかしながら、周囲のアドバイスを家族の方たち自身が生活保護の受給を拒んでいたのなら、外部からではどうしようもないとも思いますし、嫌な部分は目を背けてしまうのが人間ですので、なかなか、こちらも重い腰をあげることはないでしょう。

36歳、30歳、26歳の男性ですので、夢を持ちがむしゃらに生き、仕事や恋愛を楽しみ、社会から活躍が期待される、そんな年齢です。
生活保護もですが、なぜ引きこもりになってしまったのか?生きにくい日本の社会構造に問題があるのではないか?幼少期からの支援が必要だったのでは?などいろいろ考えさせられる事件です。

いずれにせよ、日本はその予備軍で溢れていますが、今の政治に期待が持てないのがまたなんとも苦しい国になってしまいました。



※最後に
ご覧になられている記事は、内容の見直し、文章の誤り(誤字や不適切な表現)による修正で内容が更新されることがあります。