知床観光船事故、社長が土下座し謝罪(2022年4月27日)

 北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」=19トン=が遭難し、11人が死亡、15人が行方不明になった事故で、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長が27日、斜里(しゃり)町内のホテルで記者会見を開き、「このたびはお騒がせしまして大変申し訳ございませんでした」と謝罪した。

 桂田社長は同日午後4時50分ごろ、報道各社のカメラのフラッシュを浴びながら会場に登場。一礼したのち、謝罪の言葉を土下座しながら述べた。

 桂田社長をめぐっては、事故発生翌日の24日に乗客の家族ら向けの説明会で謝罪。説明会が1日3回の実施形式となった25日は、初回に参加したが、以降は姿を見せていなかった。

 27日は記者会見に先立ち、家族らに対し改めて状況などを説明。予定時間を超えたため、会見も当初予定から1時間半ほど開始が遅れた。

今日、ようやく知床観光船の海難事故を起こした運営会社のシャチョーが「けじめ」の記者会見を開きました。事故から5日経っての会見でして、その間要請があったのにも関わらず、姿をくらましていたということで、記者会見するメンタルになっていなかったか、そもそも記者会見する気がなかったか、そして記者会見に備えて、弁護士の先生と会見にむけての対応、特に事実確認に終始していたと思われます。

いわゆる不祥事を起こした場合に、対応で心がけないといけないことは以下の通りです。
 (1)迅速な初期対応
 (2)対策チーム立ち上げと情報の集約
 (3)事実確認
 (4)外部にはオープンに情報公開

 (5)トップが陣頭指揮をとる

ここのシャチョーは、すでに(1)は関係者からも連絡がとれない、家族への1日3回の状況説明も初回に顔をみせただけで後は欠席とアウト、(4)は記者会見まで何も会社からの情報はなく、マスコミに出てくるのは元従業員とか、同業他社の人間とかなのでアウト、トップが陣頭指揮をとるのは見ての通りでアウトです。

全部でスリーアウトですね。

従いまして、来たるべき記者会見に向けて(2)と(3)に集中していたと思います。記者会見用のカンペを作成して、想定問答集で訓練していたと思いますが、全ては覚えられませんので基本ルール、特に答えられない場合の最低限のルールを決めて臨んでいると思います。

これ以上、炎上させるわけにはいきませんので、何度も練習してきたと思います。

そんな中で記者会見冒頭の『土下座』だったわけです。

もちろん、これは予定していた謝罪だったと思います。

そうでなければ、事故後にすぐ現れて「この度は人命が失われる大きな事故を起こしてしまい大変申し訳ございません。只今、行方不明の方の捜索とともに、原因究明に向けて取り組む所存です。時期が来ましたら改めて会見させていただきます。大変申し訳ございません。」と言って『土下座』できたと思います。

❖土下座
 ・昔、貴人の通行の際に、ひざまずいて額を低く地面にすりつけて礼をしたこと。
 ・申し訳ないという気持ちを表すために、地面や床にひざまずいて謝ること。

2つ目の申し訳ないという気持ちを表すために、ということなのでしょう。

ただし、今回は『土下座』自体のインパクト高価を狙ったものだと思われます。『土下座』自体はインパクトが大きく、特に謝罪を受け入れようとしない相手の気持ちを揺さぶる効果が大きいと思われます。しかしながら、その半面、使い方を間違えれば「わざとらしい」「パフォーマンス」とひんしゅくを買ってしまう側面を持っています。

記者会見自体の意味はなく、謝罪会見なのか、原因の報告なのか、とにかく世間の『けしからん!』『許せん!』『どんな面が見たい!』『どんな言い訳するのか聞きたい!』など、一般大衆の溜飲を下げる為の会見であり、二度とこういったことを起こしてはいけないことを世間に働きかける会見でないので、開かれるのがよくわかりません。

乗組員2名を含む26名は絶望的ですので、世間では損害賠償の話がでてきており『払えるのか?』『破産では?』『資産は結構ある』といった次のステップに移ってしまっています。何と切ない話であります。



※最後に
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