※2022.04.29更新(追記)
※2022.05.04更新(イマーションスーツ追記)

❖知床観光船26人安否不明 遭難か、海保捜索続く(2022年4月23日(土))

 23日午後1時15分ごろ、北海道斜里町の知床半島西側のオホーツク海を航行中の観光船「KAZU 1(カズワン)=19トン」から「浸水している」と第1管区海上保安本部(小樽)に救助要請があった。海上保安庁は、子ども2人を含む乗客乗員計26人の安否が分からないと明らかにした。遭難したとみて、1管のヘリコプターや巡視船が現場海域を捜索しているが、午後11時現在、見つかっていない。この日が運航初日だった。
 斜里町では朝から強風が吹き、波が高い状況だった。1管によると、26人のうち客は大人22人と子ども2人で、他に船長と甲板員が1人ずつ乗っていた。




春先のオホーツクの海で船が転覆しました。「海保捜索続く」とありますので、まだ見つかっておりません。これだけでも、かなり厳しい状況と言わざるをえません。

❖低い海水温、難しい避難の判断 専門家 知床沖海難

船が沈み始めた場合には、救命胴衣を着けて海面に飛び込むのが通常の避難行動だが、海水温が4~5度程度と低い場合には、1時間程度で生命が危険な状態となる。「一般論としては、ギリギリまで船内にとどまることも考えられ、避難には難しい判断を迫られる」と説明。「26人が乗船しており、近年でも規模の大きな海難事故。乗客の安否を含め、捜索の状況を注意深く見守る必要がある」と話した。

ライフジャケットを着れば溺れませんが、水に浸かってしまったら南の暖かい海でない限り、「凍死へのカウントダウン」が始まります。今回の場合、5℃程度ですので時間としては30分で意識不明、90分で凍死となります。海で沈没や転覆をして、すぐに救助がくるとはとても考えられませんので非常に厳しい状況となります。

❖水に浸かってからの命の猶予時間

水温      意識不明にある時間 凍死する時間
0℃      15分以内    15~45分
0~5℃   15~30分    30~90分
5~10℃ 30~60分    1~3時間
10~15℃ 1~2時間    1~6時間
15~20℃ 2~7時間    2~40時間
20~25℃ 2~12時間    3時間~不明

昨年、3月に大雨が降り我が家の家の近くの道路が冠水したことがありました。その道路を渡らないと家に帰れませんので渡ることにしたのですが、長靴を履いているわけではありませんので、運動靴のまま渡りました。

水に足を浸けた瞬間、氷のような冷たさで足を動かすのができなくなってしまったのです。それでも何とか一歩一歩歩いていったのですが、歩くたびに足が冷たくて痛い感じがしました。

映画「タイタニック」の最後を思い出しました。船が沈没して、レオナルド・ディカプリオ演じる「ジャック・ドーソン」とケイト・ウィンスレット演じる「ローズ・デウィット・ブケイター」が海に投げ出されますが、船の壊れた部材に上に上がって低体温を防げた「ローズ」と部材の上に上がれずに海の中にいた「ジャック」は凍死してしまったのです。

❖観光船が行方不明になった4月23日の経緯【2022.04.29】追記

午前10時ごろ 「KAZUⅠ(かずわん)」が斜里町のウトロ漁港を出発
午後1時ごろ  同業他社の従業員がカズワンと無線でやりとり「カシュニ滝あたりにいる。戻るまで相当時間がかかる」と声が流れる
1時10分ごろ  「救命胴衣着させろ」とのカズワンからの声が無線に流れる
       「浸水していてエンジンが泊まっている。沈むかもしれない。」とカズワン
1時13分     無線を聞いていた同業他社の従業員が118番通報(海上保安庁)。「前が浸水している」「後にこの電源も切れる」
1時18分     カズワンの乗組員が118番通報
2時55分     カズワンの運営会社『知床遊覧船』が網走会場保安署に「カズワンから14時に『船体が30度傾いている』という連絡があったのを最後に連絡がとれなくなった」と通報
4時30分ごろ   海保ヘリが現場に到着し捜索開始

運営会社よりカズワンから2時30分に船が傾いていると連絡があったのを最後に連絡がとれなくなったとの事ですので、2時30分~3時あたりに船が沈没して海に投げ出されます。

そして、海保ヘリが現場に到着したのが4時30分ですので、1時間30分という時間、海の中にいたことになり、水温0~5℃の凍死するまでの時間の90分ギリギリでの到着です。そしてすぐには見つけられませんので、厳しい状況と言わざるえません。

❖観光船捜索続く…10人の死亡確認 男性7人女性3人 「悪天候の中なぜ船を出したのか?」疑問の声も(2022年4月24日)

北海道の知床半島沖で消息を絶った観光船の捜索が続く中、24日午後、新たに観光船に乗っていたとみられる1人が発見されました。このほか24日の捜索では、午前中に9人が見つかっていますが、10人全員の死亡が確認されました。
(中略)
第一管区海上保安本部によりますと、23日午後1時15分ごろ、知床半島のオホーツク海側の「カシュニの滝」付近の海域で「知床遊覧船」所有の観光船「KAZU I(カズワン)」の乗組員から「船首部分が浸水し、沈みかかっている」と通報がありました。
 船は19トン、全長12メートルで子ども2人を含む26人が乗っていましたが、午後2時すぎ、会社に「30度傾いている」と連絡したのを最後に消息が途絶えました。
(中略)
また、地元の別の観光船の乗組員は、23日の海の状況を見て、「KAZU I」の船長に対し「行くな」と止めたものの、船長はそのまま船を出したことを明らかにしました。この観光船乗組員によりますと、「KAZU I」は、冬の間陸揚げされているとき、船首に亀裂があり、修理をせずに、そのまま海に下ろしていたことも指摘しています。

救助された10人も非常に残念な結果となりました。残り16人はさらに厳しい状況だと言わざる得ないでしょう。

❖子供1人救助、意識なし 知床の観光船遭難(2022年4月25日)【2022.05.03】追記

北海道・知床半島沖で子供2人を含む乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」が浸水後に消息を絶った遭難事故で、第1管区海上保安本部(小樽)は25日、新たに性別不明の子供1人を救助したと明らかにした。24日夜、知床岬の東側の海域で捜索中の船が見つけ、搬送時に意識はなかった。見つかったのは計11人となった。
(後略)

子供が見つかりました。先に発見された10人も厳しい状況ですので、体力のない子供は更に厳しいかと思います。

❖速報 観光船捜索 知床半島東側で新たに発見された男性3人 全員死亡確認 北海道(2022年4月28日【2022.04.29】追記

知床半島の沖で消息を絶った観光船「KAZU I(カズワン)」の捜索で、28日、知床半島の東側で新たに発見された3人は、全員死亡が確認されました。3人はいずれも男性で、子どもとみられる人はいないということです。
(中略)
3人はライフジャケットを着用し、海面に浮いた状態で発見されました。搬送時に3人とも意識はなく、斜里町の病院に運ばれた後、斜里町B&G海洋センターに搬送されました。
(中略)
28日までの捜索で、「KAZU I」に乗っていた26人のうち14人が発見・救助されたものの、全員の死亡が確認されたことになります。

残り12人となりました。

海上保安庁によりますと、北方領土の国後島周辺まで行方不明者が流された可能性もあるということです。そのため、国後島との中間線を越えて捜索できるようロシアの国境警備局に通知したということです。

ただ、範囲を広げれば広げるほど捜索活動は困難となり、残り12人の方を見つけるのにさらに時間がかかる恐れがあります。


ドライスーツ⇒イマーションスーツ

冷たい海に投げ出された場合に防寒対策の施されたドライスーツを着ていれば、凍死に至るまでの時間を稼げるとは思いますが、観光船にわざわざ着ていかないと思いますので、乗船する船にはライフジャケットドライスーツ、ただドライスーツだけですと頭と手足が無防備になりますので、ヘッドキャップグローブブーツを人数分用意しておくとか義務化さできればとも思いますけど難しいんでしょうね。

【2022.05.04】修正
真冬の海に何も装備せずに投げ出された場合、水温5℃以下では30分で意識を失い、命はもって90分です。もし、知床観光船海難事故のように海に投げ出された週間から死へのカウントダウンとなります。

そこで冷たい海に投げ出された場合に命を守ってくれる保温ウェットスーツである「ドライスーツ」をご紹介させていただきました。

その後、冷たい海に投げ出されても長時間浮いていられる救命スーツがあったのです。

それは「イマーションスーツ」と呼ばれるもので「水温0度の海でも6時間保温できる」という想定で設計されています。もともと北太平洋・ベーリング海の漁師のために作られ、南極観測船「しらせ」でも使われているそうなのです。

「イマーションスーツ」の特徴として、「イマーションスーツ」自体は浮きますのでライフジャケットが不要です。また、「水温0度の海でも6時間保温できる」ということで十分な保温効果があり、低水温下でも命を守ってくれます。そして2分あれば着ることができますので、船に浸水してきたからでも場合によっては何とか素早く着れるかもしてません。

ただし、保温と言っても6時間後には体温2度は低下しますので、なるべく早く救助してもらうしかないのです。また、1着10万円しますので高価であり、維持管理費が嵩みますのも課題です。しかしながら、多数の人が亡くなっておりますので、何かしらルール改正がされることを祈っております。











※最後に
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