メダカ人気の裏で在来種に絶滅の危機 改良メダカ“放流”で…(2022年8月24日)

1匹数万円で取引されるものもあるほど人気となっているメダカですが、深刻な問題が起きています。観賞用の改良メダカが川や用水路などで確認され、在来種のメダカの絶滅が危惧されているのです。

背中が金色に輝く“黄金のメダカ”に、変わった形の“ぷっくりメダカ”など、都内の専門店で売られていたのは、品種改良された観賞用のいわゆる“改良メダカ”です。
【中略】
改良メダカは、そのかわいらしい見た目や飼育のしやすさなどから人気になっています。ところがいま、全国各地の水路などで見つかり、在来種の野生のメダカの絶滅が危惧されているのです。

【一部文章変更】岐阜・美濃市の水路には、在来種のメダカが泳ぐ中に、透き通った青色の体をした改良メダカの姿がありました。網ですくうと、何匹もの改良メダカが確認できました。

【一部文章変更】神奈川・小田原市の水路で見つけたのは、在来種のメダカです。
【中略】
こうした自然にいるはずのない改良メダカはいま、“第3の外来魚”と言われています。

そもそも外来魚とは、外から日本に持ち込まれた魚のことです。日本魚類学会によると、第2の外来魚は「国内外来魚」とも言われ、国内の自然に生息していた地域から別の地域に移されるなどした魚です。そして、人の手で品種改良された改良メダカのような魚が自然に生息してしまったものを、「第3の外来魚」と呼んでいるのです。

「第3の外来魚」と呼ばれる改良メダカはなぜいま、全国各地で見つかっているのでしょうか。

【一部文章変更】「以前から人が飼育しているメダカを、放しちゃっている」

この改良メダカが自然に増えることで、ある問題が起きているといいます。

【一部文章変更】「(在来種のメダカと)交配すると雑種ができるので、純粋な在来種がいなくなってしまう」

もともと在来種のメダカは、2007年に絶滅危惧種として選定されていました。かつては身近にいたメダカが、絶滅の危機にひんしているのです。

増えすぎた改良メダカを知らずに放流する人が多いことに危機感を感じ、去年11月から活動を始め、「放流禁止」と書かれたメダカを入れる袋を作り、全国各地の販売店に呼びかけています。

また、この会では、飼えなくなったメダカを無料で引き取っているということです。

都内の水族館では、在来種のメダカを守ろうとする取り組みが行われています。

葛西臨海水族園では、約400匹の在来種の飼育や繁殖を行っています。東京生まれ、東京育ちだということで…
【中略】
「飼育をしたら最後まで」一度飼った魚を放流しないよう呼びかけています。

今や500種類以上とも言われる改良メダカです。業者や愛好家によって日々、美しい品種改良が進んでおり、昨今のメダカブーム(一過性でなく定着したような感じもします)も手伝って、1匹数万~数十万と言われるメダカも出回っております。

メダカの盗難もニュースになるぐらいでして、有名店の店長はメダカのニュースの際にはよく出演されて解説をしてくれております。

こうしたメダカブームで、メダカ商戦が過熱する一方で、やはりといいますか、必然的といいますか、改良メダカを野生に放流する行為が増えてきました。他の外来種と同じく昔からある行為ですが、メダカブームによりメダカを飼育する家庭や飼育者が増えて分母が増えてきましたので、放流する分子も増えてるわけです。

このような改良メダカは「第3の外来魚」と呼ばれており、在来のメダカを脅かしております。

❖第3の外来魚とは?

第1の外来魚・・・国外から日本に持ち込れ自然界に放流された魚

第2の外来魚(国内外来魚)・・・国内の自然界に生息していた魚をを別の地域に放流

第3の外来魚・・・人の手で品種改良された魚を自然界に放流

❖メダカの絶滅は改良メダカのせいではない
2007年にメダカは絶滅危惧種に選定されました。

メダカの減少の主な原因は、農薬の使用や生活排水などによる環境の悪化、護岸工事や水路の整備などによる流れの緩やかな小川の減少、繁殖力の強い外来種(ブルーギルやウシガエルなど)による影響が挙げられています。

そして、その中でもメダカと棲息環境が競合、そしてメダカの棲めないニッチ(=すき間)領域でも棲息できる北米原産のカダヤシが棲息環境を大きく拡げています。

カダヤシは卵胎生(お腹で卵を産み稚魚が孵化した状態で出産)であり、一度に多ければ100~300匹産みます。対してメダカは20~30匹ですので、この時点で勝負あった!なのですが、メダカは卵で産卵(卵生)しますので、そこにカダヤシがいれば、卵を食べられてしまうのがオチです。

また、メダカは水田のような一時的水域に侵入して繁殖する性質が強く、近年の農地改良に伴う用排分離により、用排水路から繁殖時に水田内に進入することが困難になっていることが特に致命的となっており、メダカの繁殖力を著しく削いでいます。

この農業革命ともいえる水路分離は、メダカを絶滅に追い込みました。水田のシーズン(稲刈りの段階)は終われば、水田の水はなくなり、メダカは住めなくなりますので、用排水路から近くにあるため池に逃げ込み、そこで冬を越すことができたのですが、ため池は埋め立てられてしまい、用排水路は分離されましたので、冬越しで逃げ込む場所がなくなったのです。私はこれが一番の原因ではないかと思っています。

改良メダカは繁殖するには過酷な自然環境
改良メダカは観賞用に『色』がついていますので、天敵である大型魚(ブルーギル、ブラックバス、ライギョ)や、甲殻類(ザリガニ)、両生類(ウシガエル)、鳥(サギなど)、哺乳類(外来種のアライグマ、ヌートリア)、爬虫類(ミシシッピアカミミガメ)、昆虫(ヤゴなど)など多くおり、在来のメダカより見つかりやすいので、食べられてしまう可能性が高いです。

そもそも自然環境下での在来メダカを見たことがないと思いますが、改良メダカを見た報告はなかなかないと思います。

改良メダカは改良と言ってもメダカです。その改良は生命力が強くなる、繁殖力が高くなるというものではありません。見た目の華麗さを出すための改良なのです。

改良メダカの棲息環境は、在来メダカが棲めるような環境とでなければいけませんので、棲める環境は限られてきます。

カダヤシが棲んでいるようなニッチの領域でも、カダヤシと競合したとしても、在来メダカと同じく駆逐されてしまうでしょう。

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それでも危惧されるのは遺伝学的な考え『遺伝子の汚染』
改良メダカが在来メダカの生息環境に放流されると何が問題なのか?ということであれば、在来メダカと改良メダカが交配して『雑種(※)』ができてしまい、遺伝子が純粋に在来のメダカでなくなってしまう、オリジナルの遺伝子でなくなってしまうことなのです。

※いろいろな種類のものが入りまじっていること。 また、そのもの。品種など系統の異なる雌雄の交配によってできた個体。

一般人は改良メダカを放流してしまうのは、この見えずらい遺伝学的な考え方をスル―してしまうからだと思います。

改良メダカですと、在来メダカとの雑種が誕生しても見た目でわかりやすいのかもしれませんが、遺伝子情報ですから、何世代にも後に予想もしない影響がでてくるかもしれませんが、いずれにせよ一般人には見えずらいのだと思います。

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善意の放流
改良メダカを飼っていれば、自然と繁殖という流れになりますが、この繁殖が曲者でして、繁殖に苦労する話やQAを巷でよく見かけますが、それとは逆に順調に繁殖に成功しますと、1回の産卵で20~30個の卵を産卵しますので、飼育環境では天敵や阻害する要因がありませんので、雪だるま式に増えていくことになります。

よくプログなどで載っているメダカの飼育は、業者や愛好家の方が多いので、敷地面積の広い飼育環境で多くのメダカを飼育しておりますが、一般家庭ではそうはいきません。増えれば増えるほど、容器を増やすことになり、置き場に困ることになります。

増えてしまったメダカを譲渡で引き取ってもらうのにも、なかなかの手間ですので、手っ取り早い方法となると、近隣の川や池などに放流するということになります。

特に在来メダカの棲息している環境であれば『同じメダカなので見た目が同じであれば、一緒に棲ませてもいいのでは?』という考え方で放流にいたると思います。

また、メダカといっても小さな命ですので『無用な殺生をしたくないから、自然界で元気に暮らしてほしい!』という考え方で放流されることもあるでしょう。

いずれにせよ、在来メダカの棲息環境を脅かすことになりますので、好ましい行為ではないのです。



※最後に
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