※2022.09.02更新(改題:旧題【合格後に難あり】情報処理安全確保支援士の合格後を語る)

情報処理技術者試験の令和3年秋期の情報処理安全確保支援士に合格しました。
Webで閲覧した時に合格していたのを判った時と、郵送で表彰状がおくられてきた時は、感動ひとしおでした。

会社には資格取得を推奨しており、表彰制度もありますので、まずは上司乎合格したことを報告するのですが、その時に「たしか登録することになるので確認したほうがいいよ。」と言われまして『?』だったのですが、IPA(情報処理推進機構)のホームページを見ますと、以下の文言が見つかります。

(省略)情報処理安全確保支援士試験合格者は、所定の登録手続きを行うことで、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」の資格保持者となることができます。

資格登録があることを知らずに試験を受けて合格したのですが、正直言いますと合格したら終わりと思っていましたので「え!面倒くさいなぁ。」「維持もあるだろうから大変なのでは?」というのが正直なところでしたが、実際に登録してみますと予想以上でした。

登録者数が初の前年割れ、「情報処理安全確保支援士」の人気獲得に秘策はあるか(2022年3月10日)

IPAが発表している数値を確認すると、2020年10月に1万9752人だった登録者が、2021年10月には1万9450人に減少していた。2017年に登録受け付けを開始して以来、初の前年割れとなる。
(中略)
2018年までの新規登録者は大多数が旧試験からの移行組だということだ。
(中略)
支援士として登録するためには原則支援士試験に合格する必要があるが、旧試験の合格者は経過措置として2018年8月まで、支援士試験を受けず支援士として登録できた(15,000人超)。グラフにすると、支援士制度が始まって以降、支援士試験に合格した新規登録者数は一度も年間2,500人を超えていないのが分かる。
(中略)
支援士制度が始まった2017年当初、経産省は3万人登録を2020年までに達成する目標として掲げていた。それを5年も延ばさざるを得なかった背景には、制度の大幅な変更がある。2020年5月に「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」が施行され、支援士に3年ごとの更新義務が課されたのだ。
(中略)
だが更新制による登録者への負荷が導入当初から指摘されてきた。具体的に負荷となるのは、更新にあたり必須となる講習だ。共通講習、実践講習の2種類を受講しなければならない。共通講習は情報セキュリティー実践のために必要な知識や技能、倫理について学ぶ講習でIPAがオンラインで開催、年に1度受講する必要がある。実践講習は実習や実技、演習などを伴うオンラインまたは実地での研修だ。こちらもIPAが主催するが、経産省が認めるものであれば民間事業者主催の特定講習で代替できる。3年間のうち1回、受講する必要がある。
(中略)
注目すべきは受講者が負担する費用だ。最初の3年間で最低でも13万4700円がかかる(住民票の写しなどの事務手続き費用を除く)。内訳はこうだ。まず初回登録時に登録免許税として9000円登録手数料として1万700円がかかる。次に年次の共通演習1回当たり2万円、3年で6万円を支払う必要がある。最後に実践・特定演習だ。内容や主催する業者により開きがあるが、2021年4月時点で最も安かったアイ・ラーニング社の「情報セキュリティマネジメント構築」研修が5万5000円となる。

上記の記事を読んで「登録セキスぺの申請」をやめようと思った方は多いのではないでしょうか。「登録セキスぺ」に申請しなくても合格には変わりありません。だったら手間も費用もかかる「登録セキスぺ」への申請をしてくてもいいのではないか?というのが素直な感想じゃないでしょうか。

私が何故「登録セキスぺ」に申請することになったのか?といいますと、会社に資格支援制度があり、「登録セキスぺ」の費用も立て替えてくれるからであります。

こんな金額、個人で払える金額ではありません。

新規の登録が大変

登録セキスペの登録日は年に2回です。
受付期限(いずれも当日消印有効)
4月1日登録:2月15日
10月1日登録:8月15日

まず、年2回しかないことです。
今回、私が合格しました日付が令和3年12月17日で4月1日登録の申請期限が2月15日ですので実質2ヶ月しかないわけです。しかしながら、世間は年末年始に突入しており、年が明けてちょっと経つと1月中旬になっていて実質1ヶ月しかない状況となるのです(春はちょっと違いますけどね)。

そして4月1日登録なので、かなり先なのです。この日は「登録証」が郵送されてくる日付なのです。

前に会社で立替金が戻ってくると書きましたが、「登録セキスぺ」の登録料だけでなく、立替金は「受験料」も入っており、これには「登録証」が必要でして、さらに有効期限が合格より6ヶ月なので、登録を忘れてしまうとアウトなのです。たしかに会社の制度の話ではありますが「登録証」までの申請期限の短さと発行までが長く感じます。

書類は、次の通りです(詳細は「登録の手引き」をご参照ください)。
1.登録申請書・現状調査票
(Wordファイルに入力、登録免許税の収入印紙(9,000円)・登録手数料(10,700円)の振込を証明する書類が必要)
2.誓約書(WordまたはPDFファイルに入力・記入、署名)
3.情報処理安全確保支援士試験の合格証書のコピー又は合格証明書の原本
4.戸籍の謄本若しくは抄本又は住民票の写し(市区町村役所等で取得、原本を提出)登録事項等公開届出書(Word ファイルまたはPDF ファイルに入力・記入)
5.登録申請チェックリスト(Word ファイルまたはPDF ファイルに入力・記入)

なかなか、提出書類が多いです。特に戸籍の謄本若しくは抄本又は住民票の写しまでありますので発行してもらわなくてはいけません。ただ、マイナンバーカードさえあれば、コンビニで自動交付できますので、昔のように役所に行かなくていいので便利にはなっています。

とにかく期限までに書類を郵送しなくてはいけませんので、記入に間違いがないか?抜け漏れはないか?をチェックして送ります。
過去に間違いが多かったのか?「5.登録申請チェックリスト」なる便利なシートがあり、チェックシート通りに記入して郵送すれば間違いありません。

更新も大変そうです
まだ、初回登録ですので更新はきていませんが更新も大変そうです。実は更新も私の在籍している会社は立て替えてくれるので免許の維持もできます。

1年に1回受講する共通講習(オンライン講習)
登録セキスぺは、登録日または更新日から起算して1年に1回、共通講習(オンライン講習)を受講することが義務付けられています。

3年に1回受講する実践講習
登録セキスぺは、登録日または更新日から起算して3年に1回、実践講習を受講することが義務付けられています。実践講習はいくつかの講習からいずれか1つを選択して受講いただきます。

1年に1回共通講習を受講しないといけません。共通講習は標準学習時間が6時間で受講費用は20,000円です。

そして3年に1回の実践講習を受講しないといけません。共通講習はIPAが主催するコースと民間事業者が行う特定講習にわかれており、その中の複数のコースから選択します。コースによって違うのですが標準学習時間が最低7時間で受講費用も最低80,000円です。

実戦が曲者ですね。グループ討議やディスカッションなどがメインなようです。話せるのかなぁと思ってしまいます。

実は罰則がある
この「情報処理安全確保支援士」には、何と罰則があります。

登録セキスペとしての義務遵守と罰則

登録された方には、次の3点の義務があります。

・信用失墜行為の禁止
 「情報処理の促進に関する法律」第二十四条に、「情報処理安全確保支援士は、情報処理安全確保支援士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」と記載されています。

・秘密保持
 「情報処理の促進に関する法律」第二十五条に、「情報処理安全確保支援士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。情報処理安全確保支援士でなくなった後においても、同様とする。」と記載されています。

・講習受講
「情報処理の促進に関する法律」第二十六条に、「情報処理安全確保支援士は、経済産業省令で定めるところにより、機構の行うサイバーセキュリティに関する講習を受けなければならない。」と記載されています。

・罰則
上述の義務に違反した場合は、登録の取り消し、又は、一定期間の登録セキスペと名乗れなくなります。登録を取り消された方は、その後2年間は再登録することができません。また、「2.秘密保持」の義務違反は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が課されます。


国際的に人気のある資格「CISSP」
「情報処理安全確保支援士」が国際的な資格であるかといいますと「否」となります。実は国際的に人気のある情報セキュリティの資格は存在しており「CISSP」という資格になります。

「CISSP」認定試験とは国際的なセキュリティプロフェッショナルの認定制度であり、米国の非営利団体が主催する民間資格になります。2017年現在、全世界に117,756人の資格保有者がいる世界的な人気資格となっています。

「CISSP」は国際的にとても評価の高い資格ですが、受験料が8万円をこえる高額であり、さらに5年(大卒者は4年)以上の情報セキュリティのプロフェッショナルとしての実務経験が求められます。そのためか日本国内での有資格者数は、他国と比べて低い水準にとどまっているようです。

「CISSP」と「情報処理安全確保支援士」のどちらを取得すべきかは、国際的に活動していきたいのか、それとも官公庁など国内案件重視でいくのか、今後のキャリアパスを考えつつ決めるといいのではないでしょうか。

❖まとめ

「情報処理安全確保支援士」は情報処理初の『士業』であります。士業には弁護士、司法書士、公認会計士、中小企業診断士があり、いずれも社会的なステータスが高い資格であります。
その中の仲間入りでありますが、合格率が低めとはいえ、比較的容易に資格取得が可能な『士業』です。
制度自体は、まだまだ改善の余地がありそうですが、サイバーセキュリティの分野はIT業界のなかでも最先端の業種ですので、キャリアパスを考えた時に、資格取得をまず目指してみるのもいいかと思います。



※最後に
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