パドルボードの背後にピタリと付ける不気味なサメと、冷静さを失わない女性(米)(2023年7月1日)

 大き目のサーフボードの上に立ち、オール(パドル)を使って海や川を漕ぎ進む「スタンドアップパドルボード(Stand Up Paddleboard)」。そのレースイベントに参加していた女性が先月25日、米フロリダ沖で大きなヒレを持つサメに追いかけられた。女性の後ろにピタリと付き、滑るように水中を移動する不気味なサメの姿と、冷静に対処する女性の様子はカメラが捉えており、米ニュースメディア『Fox News』などが伝えて注目されている。

米フロリダ州フォートローダーデールに住むマレア・トリブルさん(Malea Tribble)は先月25日、夫リッキーさん(Ricky)らとリレーチームを組み、スタンドアップパドルボードのレースに参加していた。

レースはカリブ海に浮かぶバハマ諸島西端のビミニ島から、フロリダ州南東部レイクワースの約129キロ(80マイル)をパドルボードで進むハードなもので、マレアさんはフロリダ沖56~64キロ(35~40マイル)辺りでボードの底を何かに突かれているような気がしたという。

「最初はボードのフィンに海藻が引っかかり、音を立てているのかと思った」と話すマレアさんだが、仲間が待機していた船まであと9メートルの距離に近づいた時、船に乗っていたリッキーさんが水面から突き出すサメのヒレに気づいた。

当時の動画では、マレアさんが船に向かってオールを漕ぐ姿と、サメがその1メートルほど後ろにピタリと付きジグザグに進んでくる様子が見て取れるが、マレアさんはサメには気づいていないようだ。

そんなマレアさんに対し、リッキーさんは冷静に「良い調子だぞ。そのままこっちへ来て。こっちに来るんだ!」とパニックにならないように声をかけており、マレアさんは船の近くまで来ると「サメなの? 後を付いてくるの?」とリッキーさんに聞いている。

サメはその後、ボードの下に潜りこんでおり、マレアさんは当時のことを「実は夫の反応を見て、サメがいると直感したの。でもそのサメがどのくらいの大きさなのか、どこにいるのかは全く分からなかった。ただボードから落ちないように集中していたの」と明かし、このように続けた。

「実際に何が起きていたのかを知ったのは動画を見た時で、サメが思っていたより大きく、ボードの近くにいたことを知って驚いたわ。それにあのサメの動きの速さ、泳ぎがとても滑らかなことにも気づいた。でもサメはきっと、自分の生息地に現れた私に興味があっただけだと思うの。」

サメはその後、ボードから離れて泳ぎ去り、マレアさんは10分後にはレースに戻ったそうで、クレイジーな状況下でチームが冷静に指示を出してくれたことに感謝しているという。またあのような場面に出くわしながらも、落ち着いた対応をしていた自分にも驚いているそうだ。

なおパドルボードレース「The Crossing for Cystic Fibrosis」は今年で10回目の開催で、遺伝性疾患「嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis)」について知ってもらい、寄付を集めるチャリティイベントだという。

同イベントを立ち上げた執行役員のトラヴィス・スーツさん(Travis Suit)は、今回の件について「海はサメにとってはホームであり、私たち人間は訪問者に過ぎない。こういったことは起こり得ることで、冷静な行動を誇りに思う」と述べ、マレアさんを称賛した。

ちなみにマレアさんの後を追ってきたサメは、頭部がかなづちのように飛び出している「シュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)」で、オンライン版『ナショナルジオグラフィック』によると、体長4~6メートル、体重230~450キロにまで成長し、目が離れているため他のサメよりも広い視野を持つという。(後略)
パドルボードとシュモクザメ

アメリカのフロリダ沖でボートに乗った女性がシュモクザメに追いかけられることがありました。

シュモクザメは頭部が金づちのように飛び出している特徴のあるサメです。名前の由来であるシュモクは、鐘などを鳴らすときに用いるT字形の撞木(しゅもく)に由来しています。 英語では「Hammerhead shark(かなづち頭のサメ)」と呼ばれます。 

シュモクザメは卓越した技能を持つ捕食魚です。 目が不格好な頭の両端に付いているため、ほかのサメよりも広い視野を持ち、容易にエサを探すことができます。

シュモクザメは世界に9種、日本近海に3種が分布しております。

体長は3~4mにもなります。最大はヒラシュモクザメで体長6m前後になります。ただ外洋性なので、めったに遭遇することはなく群れをなさず単体でいることが多いそうです。
シュモクザメ_
シュモクザメの仲間は全て胎盤を形成するタイプの胎生による繁殖で、一度に30匹の赤ちゃんを産むことができます。

しかしながら、単性生殖で出産したシュモクザメがいる事が確認されたそうです。アメリカネブラスカ州の動物園「Henry Doorly Zoo」の中にある水族館において、メスだけで飼われていた3匹のシュモクザメのうちの1匹が2001年12月に出産(3年間、オスと接触していない)しました。

表層面から275mの水深にも生息しており、大型のサメとしては珍しく群れます。

与那国や神子元などで100匹単位の群れを確認できることもでき、群で泳ぐその美しい姿は圧巻であります。群を形成する理由は、おそらく自然で起こる磁場に惹きつけられるためと考えられています。そして群は社会的秩序があることが知られています。
シュモクザメ群泳
シュモクザメはさまざまな動物を捕食しますが、好物はアカエイです。

シュモクザメは氷のように冷たい深海に潜っても生き延びることができます。その仕組みが研究で明らかになりました。

2023年5月11日付でScienceに掲載された査読付き論文によると、アカシュモクザメは獲物を狩るために水深760メートル以上の深海に潜っていても体温を維持できるそうです。

本来サメは変温(外温)動物で、体温をコントロールする手段が体内にありません。冷えすぎると代謝や脳、視覚、筋肉の働きが鈍くなるため、適温の水中で泳げるかどうかはサメの生死を左右します。泳げなくなったサメは息ができなくなるのです。

そのため、なぜシュモクザメが水温摂氏4.4度ほどまで下がる凍てつくような水中に潜ることができるのか、長年の謎になっていたました。

サメは体温調節ができないため、エラから冷水が入ってくるとすぐに体が冷えてしまいます。

水中でエラ呼吸をする動物にとって、エラは頭に括りつけられた巨大なラジエーターのようなものだそうです。そのため極寒の海で体温を保つには、エラをしっかり閉じておかなくてはなりません。

研究データからは、シュモクザメがほぼ垂直に下降する前にエラを閉じていることが読み取れます。再びエラを開くのは、息継ぎのために水面に向かってゆっくりと泳ぎ始める水深約300メートル辺りなのです。そしてその時間は平均で17分続きました。

そんなシュモクザメは人間を襲う危険なサメなのでしょうか。

実ははっきりとシュモクザメによる人的被害と断定された事例はほとんどありません。日本では夏に海水浴場の沖合に出没することがあり、監視や捕獲禁止、遊泳禁止などの対策が取られています。

どうしてもシュモクザメが狂暴という意識があるのは、1982年に天草サメ害死事件で遊泳中の女子中学生(下半身を食べられて即死)がシュモクザメの被害にあったのが有名ですが、これはシュモクザメかどうかの検証がされておりません。個人的にはノーカンだと思います。

ただし、人間を襲おうとしている映像はあるので、ホオジロザメ、イタチザメ、オオメジロザメに比べて危険度は低いものの、人を襲うサメとして指定されているのです。
カヌーとシュモクザメ
ハンマーヘッドシャークとダイバー



※最後に
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