カブトムシVSスズメバチ どっちが強い? 研究者が”常識”を覆す新発見!(2023年5月3日)

 力強くてかっこよく、「昆虫の王者」ともいわれるカブトムシ。生態は夜行性で、「昼の樹液場ではオオスズメバチが最強、夜の樹液場ではカブトムシが最強」といわれてきたが、2022年、そんな常識を覆すような発見があった。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」(朝日新聞出版)4月号からお届けする。

❖早朝のクヌギ林での争いはスズメバチがカブトムシに圧勝!

 カブトムシの生態を研究する山口大学講師の小島渉さんは、2022年8月の早朝5時ごろ、山口県内のクヌギ林で樹液をなめていたカブトムシの集団と、そこへ飛んできたオオスズメバチの群れが争う場面に遭遇した。

観察を続けると、オオスズメバチはカブトムシのあしにかみつき、投げ落とすような行動をして、数分でそこにいたカブトムシ十数匹をすべて樹液の出ているところ(樹液場)から追い払ってしまった。こうした争いは、この日を含め、3日観察したすべてで見られ、いずれもオオスズメバチの圧勝だった。

小島さんはこれまでに、昼間に両者が出合って小競り合いを起こす場面は何回か見たことがあった。でも、ここまで徹底的にオオスズメバチがカブトムシを追い払うのを見たのは初めてだった。

「早朝に観察する人は少ないし、追い払いは数分で終わるので、これまでオオスズメバチが圧勝する争いに誰も気づかなかったのかもしれません」(小島さん、以下同)

カブトムシは夜になるとクヌギ林に集まってくる。幹から出る樹液をなめるためだ。樹液場にはほかの昆虫も集まってくる。その中でも手ごわいのが、鋭い大アゴを持つオオスズメバチだと知られていたが、カブトムシは夜行性、オオスズメバチは昼行性なので、昼の樹液場ではオオスズメバチが最強、夜の樹液場ではカブトムシが最強といわれてきた。今回の発見は、そんな常識に疑問を投げかけるものだ。
カブトムシとスズメバチw

❖カブトムシが夜行性なのはスズメバチのいる昼を避けるため!?

小島さんには、ここ数年の研究を通して、すでに、カブトムシは完全な夜行性ではないことが見えてきていたという。そこで、こんな疑問がわいてきた。「オオスズメバチがいない状況をつくりだしたら、カブトムシはいつまで樹液場にいつづけるのだろうか?

この疑問に答えを出すため、スズメバチよけのスプレーを使って、飛んできたオオスズメバチが樹液場に降りられないようにした。すると半分以上のカブトムシが、少なくとも昼ぐらいまで樹液場にとどまって、樹液をなめ続けることが確かめられた。

「カブトムシは、状況によっては明るくなっても活動を続けることがわかりました。夜が明けてから昼までの活動は、オオスズメバチに妨げられている可能性があります。それにより、カブトムシは本来の性質以上に夜行性が強いと見られていたのかもしれません。

動物は自分の意思で、夜行性か昼行性を決めていると思われがちです。しかし、今回観察したカブトムシは、本当は昼まで樹液場で活動していたいのに、無理やり追い出されていたように思われます。競争者であるオオスズメバチの影響によって活動時間が変化しているという点に、私は強く興味をひかれました」

ただし、今回の結果から直ちに、スズメバチがカブトムシより強いと言い切れるわけではない。

「こうした現象は特殊な環境・状況でしか起こらない可能性もあります。いくつかある仮説の一つは、今回観察した樹液場をつくったのがオオスズメバチだったというケースです。樹液場のできかたはさまざまですが、まれにオオスズメバチが大アゴで木をかじってつくることがあるんです。今回観察したのはそんな樹液場で、ハチが朝来てみたらカブトムシがいたので、これは許せないと力ずくで追い払ったのかもしれません」

小島さんは今後、同じ現象がほかの場所でも起こっているのかどうか、どんな条件でこういう現象が起こるのかを詳しく調べたいと考えている。結びに、みんなへのメッセージも伝えておこう。

「身近なカブトムシにも、まだわかっていないことがたくさんあります。これまで正しいと思われてきたことが間違いだったということも珍しくありません。カブトムシの生態は、君たちの自由研究が新発見につながることもあるので、興味がわいたらぜひ、挑戦してみてください」
カブトムシとスズメバチww

カブトムシを捕りにいっていました少年時代ですが、たしかに昼間に友達と捕りにいっていました。夜間に出歩くのも、割と許容されたおおらかな時代でしたが、それでも親に「いつ、だれと、どこに行く」という許可をなんとかとって出かけていたものです。

やはり子供心に「夜間外出許可」はハードルが高いですので、昼間にクヌギやナラの生えている森や林に出かけてカブトムシを捕ることが多かったと思います。

たしかに昼間に出かけても、樹液が出ているポイントでカブトムシが捕れることがありました。ただし、いくら日中だったとはいえ、直射日光が当たるような場所ではなく、薄暗い感じの場所でした。

たしかにカブトムシを飼っていますと飼育ケースでは日中でもマットの上に出ていることも多く、ゼリー(スイカかも?)を食べている光景も普通ではありました。

逆にマットに潜っているカブトムシも多く、人間の生活環境のあわせて昼行性になっているカブトムシもいるのかもと思いました。

カブトムシを捕るポイントで、やっかいな生き物と言えば、まずは「ヘビ」ですね。以外にも遭遇する率が高く、樹液にいるわけでなく、木に絡みついていることが多いです。「ヘビ=毒」でしたので、実際は違うのかもしれませんが、近寄りませんでした。

次に「ムカデ」です。ムカデは触らない分には問題ないのですが、ムカデには毒があり、噛まれますと毒は蜂と同じヒスタミンという成分ですので激痛が走ります。

「ムカデ」に咬まれると激しい痛みがあり、赤く腫れてきます。対処として、まずは患部の毒を絞りだしながら、水で冷やして洗い流しましょう。抗ヒスタミン含有のステロイド軟膏を塗り、腫れがひかない場合は、なるべく早く専門の病院へ行くことになります。病院に行きたくないので避けるようにカブトムシを採集しておりました。

最後にもっともやっかいなのが「スズメバチ」です。なんせ樹液ポイントにカブトムシと一緒にいますし、ライトにも反応していきますし、カブトムシを捕ろうとしますとテリトリーを侵されることで襲ってきます。

「スズメバチ」の毒は強く、複数の化学物質で構成されていて、痛みやかゆみ、筋肉の萎縮、組織の破壊、心臓や呼吸の麻痺などを引き起こすおそれがあります。ただし水に溶けやすいものなので、刺されたらすぐに水で患部をよく洗うことが効果的です。

毒針と呼ばれる部分は、産卵管を固く変化させたもの。ミツバチなどは1度しか刺すことができませんが、スズメバチは何度でも刺すことが可能です。1匹のハチが持つ毒は微量であっても、群れに襲われて複数のハチに同時に刺されることによって、毒性分も増します。

スズメバチによる刺傷事故は、時に死に至ることもある、非常に危険なものです。毎年20名前後が命を落としています。

とにかく「スズメバチ」に遭遇する確率も高いのですが、「スズメバチ」がいたら、泣く泣くあきらめることが何度もありました。カブトムシのために無理をしないほうがいいです。

日本の小学生が大発見!外来植物によりカブトムシが「昼行性」になると明らかに

 カブトムシは夜行性の昆虫です。
夜中にカブトムシを捕まえに行ったことのある方も多いでしょう。
しかし、外来植物に注目すれば、昼でも簡単に捕まえられるかもしれません。

埼玉県杉戸町の柴田さん(6年生)は、独自の調査で、外来植物のシマトネリコに集まるカブトムシが昼間も活動を続けることを発見しました。

共同で研究を発表した山口大学の小島渉氏は「カブトムシが夜行性であるという常識を覆す重要な発見」と述べています。

研究は、4月13日付けで『Ecology』に掲載されました。

カブトムシは普通、夕方頃にクヌギの樹液に飛来し、深夜0〜2時に数がピークを迎えます。そして、早朝の5時頃には大部分がクヌギから離れていきます。

しかし近年、東南アジアを原産とする外来植物「シマトネリコ」が日本に入ってくるようになりました。シマトネリコはクヌギ同様に多くのカブトムシを惹きつけます。

柴田さんは、庭木のシマトネリコに集まるカブトムシの個体数を、2019年と2020年の2シーズンにわたって計測しました。計測は1日に3〜5回、早朝から深夜まで続けたとのことです。

また2020年には、各個体の詳しい活動パターンを知るため、162匹に番号をつけて追跡調査。

結果、カブトムシの多くが夜間に飛来し、数が最も少なくなる正午頃でも、ピーク時の半分が採餌や交尾を続けていました。中には24時間以上も同じ場所に留まった個体もいたようです。

こうした活動パターンは、クヌギで見られるものとはまったく違います。興味深いことに、台湾に自生するシマトネリコに集まるカブトムシはすべて夜行性です。

つまり、日本のカブトムシでは、これまで利用しなかったシマトネリコによって活動パターンが変化したことを意味します。
シマトリネコとカブトムシ

外来種「シマトネリコ」が移入してきたことで、カブトムシの生態が変わったのか、元々昼行性の性質があったのであれば、「シマトリネコ」が移入してきたことで浮き彫りになったのかは定かではありませんが、非常に面白い発見ですし、やはり外来種は在来種の生態系に少なからず影響を与えることがわかります。

カブトムシは酸味があり糖質があるそんな樹液を好むことはわかっていますが、「シマトリネコ」は樹皮が薄く樹液が出やすい木でありことで、クヌギのような樹液を出すのでカブトムシが寄ってくると言われています。

しかしながら「シマトネリコ」の樹液はクヌギなどと比べると栄養価が低いといわれています。これがカブトムシが昼夜ともにいつづける理由ではないかと考えられているのです。樹皮が薄く汁が出やすい木でありいつまで食べても満足しないためそこから離れられなくなってしまっていると思われています。

「シマトネリコ」の樹液はカブトムシだけではなく、クワガタにも人気がある木であります。そしてクヌギの樹液と同じように、危険なスズメバチが集まってきます。

そして「シマトネリコ」を植えれば必ずカブトムシが寄ってくるわけではないこと、近くにカブトムシのいる森や林がない都会では、寄ってくるカブトムシがそもそもいません。また樹液を出していないとカブトムシがきません。

また「シマトネリコ」は害虫がつきやすい樹木であり、ハマキムシやスズメガなどの大きい蛾の幼虫がつきます。

それでも庭に植えた樹木にカブトムシがやってくるというのはカブトムシ好きには夢ですよね。



※最後に
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