川でイルカと遊泳の16歳少女、サメに襲われ死亡 オーストラリア(2023年2月6日)

西オーストラリア州の州都パースの川で泳いでいた16歳の少女が、サメに襲われて命を落とした。地元当局が明らかにした。

CNN系列局ナインニュースによると、少女はスワン川から引き揚げられた後、死亡が確認された。

西オーストラリア警察の記者会見によると、少女は付近で目撃されたイルカの群れと一緒に泳ごうと、川に飛び込んだ。

少女は警察が川から引き揚げて蘇生を試みたが、現場で死亡した。当局は捜査を続けている。

警察によると、少女を襲ったサメの種類はまだはっきり分かっていない。しかし現地のメディアは、オーストラリア各地の河川に生息するオオメジロザメだった可能性があると伝えた。

スワン川では2021年に地元の男性がオオメジロザメに襲われたことがあった。この男性は現場にいた人たちが救助して、脚の止血を試みた。

ジェームズ・クック大学の研究者アンドルー・チン氏によると、スワン川の河口はオオメジロザメの生息地になっており、人とサメの接触が起こり得る。

「オオメジロザメは非常に大胆になることがある。それでもこうした出来事は極めてまれにしか起きない」とチン氏は指摘、遊泳する場合はサメから身を守るために当局の勧告に従うとともに、個々に最悪の事態への備えが必要だと話している。
スワン川に派遣された警察の船

『危険な人食いサメランキング』など、いろいろなサイトで襲撃事件のランキングをしているかと思いますがベスト3は(当然ですが)どこでも同じで、ぶっちぎりの1位がジョーズのモデルにもなった「ホオジロザメ」、そして人でもゴミでも何でも食べて別名「海のゴミ箱」として有名な「イタチザメ」が第2位、そして今回の事件の犯人であると言われており、海水域はもちろん淡水域でも棲息できる「オオメジロザメ」が第3位です。

全長は3~4m、体重250~300kgとホオジロザメ、イタチザメより小柄で襲撃事件数も第3位ですが、攻撃的で好奇心の強い性格から、多くの専門家がオオメジロザメを世界一危険なサメだと考えています。
オオメジロザメ
日本の川でもいるのか?と言われますと、そうでもなく、この3位のオオメジロザメと2位のイタチザメは暖かい水域に棲息していますので、沖縄の川(沖縄県那覇市国場川)では発見されることはあるものの、日本本州の川で発見されたことはありません。

予断ですが、ホオジロザメは体を暖かく保つことができますので、日本で言えば南の沖縄から北は北海道まで発見されたことがあるという棲息域が広いサメでもあり、人間が出会うことが多いのかもしれません。

実際に、オオメジロザメの襲撃事件が多い地域は、北アメリカ大陸南部(ミシシッピ川)・南アメリカ大陸(アマゾン川、ニカラグア湖)・オーストラリア大陸、アフリカ大陸(ザンベジ川)など、世界でも暖かい水域となっています。

オオメジロザメが海水域でも淡水域(実際は汽水域)でも生きていけるのは、体内の塩分濃度調節の仕方が硬骨魚類(サメ・エイ以外の魚)と違うのです。

硬骨魚類は、体内に含まれる塩分濃度が海水より低い状態を維持する体構造をしています。しかし、海水には浸透圧(塩分濃度を均一に保とうとする力)がありますので、魚の周りの海水は濃度が薄い塩水が体内にある魚から水だけを吸い取り、塩分濃度を均一にしようとします。

つまり、普通に泳いでいるだけで脱水になってしまうのです。そこで海の魚は、海水を飲んでそこから水分を取りつつ、過剰に摂取された塩分を体から排出するという手段をとっています。淡水魚はその反対で、大量に入ってくる水のみを排出し、圧を一定に保つということをしています。

オオメジロザメ(サメ)は軟骨魚類で、体の組織中に大量に尿素という物質をため込み、周りの水より塩辛くなることで体から水が失われることを防いでいるので、短期間なら淡水域にも侵入できるのです。

わかったような、わかんない、難しい話ですね。

とにかく、温暖な地方の河口に近づけば近づくほど、オオメジロザメに遭遇することが多くなるのです。

ご冥福をお祈り致します。



※最後に
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