監視カメラが捉えたサメ襲撃の瞬間、懸命の救出も59歳男性が死亡(仏)(2023年2月23日)

 「南太平洋の楽園」と呼ばれるニューカレドニアのビーチで今月19日、1人で遊泳中だった59歳の男性がサメに襲われて死亡した。男性はオーストラリアからの観光客で、岸から150メートル付近で泳いでいたという。豪ニュースメディア『7NEWS Australia』などが伝えている。

フランス領、ニューカレドニアの首都ヌメア南部にあるシャトー・ロワイヤル・ビーチで19日午後4時10分頃、遊泳中の男性がサメに襲われた。

当時の監視カメラの映像では、静かだった海に突然水しぶきが上がり、男性がもがく様子が見て取れる。近くに停まったボートには観光客2~3人が、少し離れた桟橋には数名が立っているのが分かり、襲撃は複数の人の目の前で起きたようだ。

男性はその後、水上オートバイによって救助され岸に引き上げられたものの、右脚と両腕の3か所を噛まれ心停止を起こしていた。駆けつけた救急隊員はその場で心肺蘇生を行うも、男性は約40分後に死亡が確認された。

その日は週末だったこともあって家族連れで賑わっていたビーチは一時騒然となり、襲撃を目撃した人は当時の様子をこう語った。

「事故は岸からあまり離れていない場所で起きた。水上オートバイが駆けつけた時、男性は水中に顔をつけてうつぶせで浮いていた。」

「海水は血で染まっており、それは岸からもはっきりと分かった。」

「男性には意識がなく、一人で岸に引き上げようとしたライフガードは最初、水中に後ろ向きに倒れてしまっていた。」

「ビーチには子供たちもいた。事故を目の当たりにし、ショック状態に陥っていた。」
イタチザメ襲撃事件
男性を襲ったのは、体長約4メートル(13フィート)とかなり大きな個体でイタチザメと推測されている。同ビーチでのサメの襲撃はここ3週間で3度目で、先月29日に襲われたブリジット・ドゥーさん(Bridgette Do、49)は片手、手指4本、脚の一部を失っていた。そのため今回の事故の3日前にオープンしたばかりだった同ビーチは再び閉鎖され、ドローンによる問題個体の追跡が行われた。

なお「サメが同じ場所に頻繁に現れるのは、近くのレストランの見晴台から人々が餌を投げ入れるため」と指摘する声もあるようだが、一帯では今後、オオメジロザメとイタチザメの間引きを行う予定という。

ちなみにエジプトのビーチでは昨年7月、68歳の女性がサメに襲われ死亡した。女性は手脚をちぎられ、声も出ていなかったそうだ。

ニューカレドニアのビーチでフランス人の男性がイタチザメに襲われて亡くなったニュースが入ってきました。

サメの人間襲撃事件の回数では、1位ホオジロザメは断トツトップなのですが、3位オオメジロザメに挟まれて、イタチザメは2位になっています。

イタチザメは、縦じま模様が独特で英名Tiger Shark(タイガーシャーク)と呼ばれており、捕食性・腐食性(ふしょくせい、動植物の遺体や分解物を食べる)の両方をもつイタチザメは食べるものを選り好みしない捕食者で、おそらくサメの中で最もその傾向が強い種です。

イタチザメがありとあらゆる海洋生物を捕食するだけでなく、死骸や産業廃棄物など普通食べられないものまで何でも飲み込む様子から、「海のごみ箱」と言われています。

体長は3~4m、体重は400㎏を超える大型のサメの部類に入ります。
イタチザメ
イタチザメはサメの仲間ではきわめて貪欲な種類で、魚類やウミガメ、甲殻類、哺乳類、鳥類などを捕食します。人に危害を加えることもあり、オオメジロザメやヨゴレと並び危険とされています。

イタチザメは地中海を除いて、世界中の温帯および熱帯の海域、東シナ海(朝鮮半島西岸・南岸、台湾、香港、西沙群島、中沙群島)、日本の太平洋~沖縄に分布しています。外洋と浅い沿岸海域の両方に生息しています。

日本では関東以南の沿岸地域から沖縄にかけて生息しています。

沖縄ではイタチザメの駆除や捕獲のニュースが話題になります。

イタチザメのメスは一度に10〜80匹もの子ザメを生みます。子ザメを生むというのは、イタチザメはメジロザメ科に属する中では唯一、非胎盤卵胎生(胎盤にへそのおが繋がっており、母親から栄養補給する、その逆)という繁殖方法なのです。

イタチザメの個体数は、はっきりわかっておらず、絶滅リスクが高いともいわれています。

実際、沖縄ではイタチザメなどを駆除してもその効果が数ヶ月程度しか続かず、サメはすぐに漁場へ戻ってくるようです。もし駆除後しばらくして個体数が戻っているとすれば、それは単に別の海域へ移動していた個体が戻ってくることにより、表面的に個体数が回復しているようにみえるだけということです。

そして、イタチザメは単独行動が多く広大な海域を周回していると考えられているので、メスとオスが交尾のために邂逅するチャンスは少ないのです。逆に雌雄の出会いが難しいために広く回遊している可能性もあるぐらいで、ほぼ一夫一婦という報告もあがっています。

間引きしてしまうと、回復力が弱いので、個体数が一体数になるのに時間がかかるとも言われています。人間がリゾートで遊泳するには、それでいいかもしれませんが、イタチザメにとっては大変なことなのかもしれません。

ご冥福をお祈り致します。



※最後に
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