アサリ激減の理由は「海がきれいになりすぎたから」窒素やリンの放流量緩和する実証実験進める 愛知県(2023年5月4日)
❖愛知でアサリが激減 ベテラン漁師「去年の半分以下」アサリの漁獲量は年々減少
アサリの漁獲量が全国1位の愛知県。潮干狩りも多くの人で賑わいを見せています。しかし、その漁獲量は年々減少しています。その理由は意外なものでした。
愛知県蒲郡市では、GW中の5月4日も潮干狩りを楽しむ多くの家族連れ客らが訪れていました。
潮干狩りと言えばアサリ。漁獲量は、愛知県が全国1位なんです。
しかし潮干狩り客からは「毎年来ているけど年々少なくなっているような気がする」との声も。漁師歴43年のベテランに聞いても…
「今年は過去にないほど少ないですね。去年の半分以下ですね。つらいというか、死活問題ですけどね」(蒲郡漁業協同組合 酒井正一さん)
アサリの漁獲量は実は年々減少しているといいます。愛知県では、2011年の漁獲量は、1万6703トンでしたが、2021年には、2364トンまで減少。
そのため、潮干狩りを休業したり、開業日数を減らしたりする場所もあります。
激減の理由は「海がきれいになりすぎ餌の植物プランクトンが減り過ぎた」
愛知県のアサリ類の漁獲量 出典:海面漁業生産統計調査(農林水産省)
愛知県水産試験場によると、アサリが激減した理由は、「海がきれいになりすぎた」ことだといいます。これまで、国や県などは、海をきれいにするため、海に流す排水の「窒素」や「リン」の量を規制してきました。しかし、その影響でアサリなどの餌となる植物プランクトンが減り過ぎてしまったことで、アサリの数も減ってしまっていると話します。
「三河湾に栄養素が非常に流れ込んできていたんですけども、それが近年非常に減少してきているということがわかっています。なので、餌が減ってきて、アサリが痩せてきて、アサリの活力が減ってきて、それが資源減少に影響を与えているのではないかと考えています」(愛知県水産試験場 主任研究員 日比野学さん)
下水処理場からの窒素とリンの放流量を上限まで緩和
矢作川浄化センターで実証実験を始める
そこで愛知県は減ってしまったアサリを増やすためある実証実験を進めています。
下水処理場の「矢作川浄化センター」では、実験的に「窒素」と「リン」の量を規制値の上限まで緩和し、エサとなる植物プランクトンが増えるよう放流しています。
「昔は本当に下水って言えば、浄化してきれいにして出すのが使命っていうのがありましたけど、最近は“豊かな海”っていう議論がされてますんで、そういったものに貢献できるような、ちょっとでも漁業者に、いい影響があるといいなと思っています」(愛知県下水道課長 藤村尚治さん)
❖砂利を敷き詰めることでアサリの生存率が12倍に「きれいなだけでなく豊かな海とは」
一方、愛知県水産試験場では餌とは違うアプローチでもアサリを増やす研究を行っています。それは「アサリが過ごしやすい環境をつくる」ということです。
漁場に、小さな砂利を敷き詰めることで、アサリの生存率が、最大で12倍延びることがわかってきたと話します。
「石があるとですね、海底面が安定するので、アサリが痩せていても、風や波に対してすごく安定する。アサリが無駄なエネルギーを使わずに済む」(主任研究員 日比野学 さん)
こうした問題について、日比野さんは、私たちが、どういう海の姿を将来に残すのか考えることが重要だと話します。
「子供たちが潮干狩りで貝を採るなど、海辺に親しめるような、内湾の環境。きれいなだけの海ではなく、豊かで多様な生態系を育む海など、そういったものをしっかり考えて、一般の方にも認知していただければ」(主任研究員 日比野学 さん)
より豊かな海にするために、関係者たちの努力が続きます。
❖愛知でアサリが激減 ベテラン漁師「去年の半分以下」アサリの漁獲量は年々減少
アサリの漁獲量が全国1位の愛知県。潮干狩りも多くの人で賑わいを見せています。しかし、その漁獲量は年々減少しています。その理由は意外なものでした。
愛知県蒲郡市では、GW中の5月4日も潮干狩りを楽しむ多くの家族連れ客らが訪れていました。
潮干狩りと言えばアサリ。漁獲量は、愛知県が全国1位なんです。
しかし潮干狩り客からは「毎年来ているけど年々少なくなっているような気がする」との声も。漁師歴43年のベテランに聞いても…
「今年は過去にないほど少ないですね。去年の半分以下ですね。つらいというか、死活問題ですけどね」(蒲郡漁業協同組合 酒井正一さん)
アサリの漁獲量は実は年々減少しているといいます。愛知県では、2011年の漁獲量は、1万6703トンでしたが、2021年には、2364トンまで減少。
そのため、潮干狩りを休業したり、開業日数を減らしたりする場所もあります。
激減の理由は「海がきれいになりすぎ餌の植物プランクトンが減り過ぎた」
愛知県のアサリ類の漁獲量 出典:海面漁業生産統計調査(農林水産省)
愛知県水産試験場によると、アサリが激減した理由は、「海がきれいになりすぎた」ことだといいます。これまで、国や県などは、海をきれいにするため、海に流す排水の「窒素」や「リン」の量を規制してきました。しかし、その影響でアサリなどの餌となる植物プランクトンが減り過ぎてしまったことで、アサリの数も減ってしまっていると話します。
「三河湾に栄養素が非常に流れ込んできていたんですけども、それが近年非常に減少してきているということがわかっています。なので、餌が減ってきて、アサリが痩せてきて、アサリの活力が減ってきて、それが資源減少に影響を与えているのではないかと考えています」(愛知県水産試験場 主任研究員 日比野学さん)
下水処理場からの窒素とリンの放流量を上限まで緩和
矢作川浄化センターで実証実験を始める
そこで愛知県は減ってしまったアサリを増やすためある実証実験を進めています。
下水処理場の「矢作川浄化センター」では、実験的に「窒素」と「リン」の量を規制値の上限まで緩和し、エサとなる植物プランクトンが増えるよう放流しています。
「昔は本当に下水って言えば、浄化してきれいにして出すのが使命っていうのがありましたけど、最近は“豊かな海”っていう議論がされてますんで、そういったものに貢献できるような、ちょっとでも漁業者に、いい影響があるといいなと思っています」(愛知県下水道課長 藤村尚治さん)
❖砂利を敷き詰めることでアサリの生存率が12倍に「きれいなだけでなく豊かな海とは」
一方、愛知県水産試験場では餌とは違うアプローチでもアサリを増やす研究を行っています。それは「アサリが過ごしやすい環境をつくる」ということです。
漁場に、小さな砂利を敷き詰めることで、アサリの生存率が、最大で12倍延びることがわかってきたと話します。
「石があるとですね、海底面が安定するので、アサリが痩せていても、風や波に対してすごく安定する。アサリが無駄なエネルギーを使わずに済む」(主任研究員 日比野学 さん)
こうした問題について、日比野さんは、私たちが、どういう海の姿を将来に残すのか考えることが重要だと話します。
「子供たちが潮干狩りで貝を採るなど、海辺に親しめるような、内湾の環境。きれいなだけの海ではなく、豊かで多様な生態系を育む海など、そういったものをしっかり考えて、一般の方にも認知していただければ」(主任研究員 日比野学 さん)
より豊かな海にするために、関係者たちの努力が続きます。
アサリの漁獲量が全国1位の愛知県。しかし、その漁獲量は年々減少しています。その理由がなんと『海が綺麗になり過ぎたから』だそうです。
この記事を見て『豊かな森が豊かな海をつくる。』という言葉を思い出しました。
山と海の関係ってあるのでしょうか?一見なさそうに見えますが密接に関係があるのです。
海は常に栄養が不足しています。物質循環のほとんどが地表で完結する陸上に比べ、海では海面から深海まで物質循環に鉛直的(えんちょくてき:水平面に対して垂直であること)な広がりがあります。海の食物連鎖の起点となる植物プランクトンの活動は太陽光の届く海面付近でしか行われず、わずかな有機物はどんどん深海に沈んでしまいます。
有機物が分解されてできる窒素やリンなどの栄養塩類が、植物プランクトンの光合成には不可欠ですが、光は海面だけに、栄養分は深海に偏っている状態なのです。有機物が生産されにくく、利用されづらいのが海の環境の特徴といえます。
具体的に山や林業のどのような要素が、下流や海に供給される栄養分に影響するのでしょうか。
例えば天然林と人工林。天然林に多い広葉樹には落葉樹が多く、葉も分解されやすいとされています。また様々な樹種が入り乱れる天然林は、それだけ豊かな土壌を持ち多様な栄養分を川へと安定的に供給できます。
同じ人工林でも間伐・植え替え・伐採など適切に管理が行われれば、木がちょうどよい密度で健康に育ち天然のダムの役割を果たすことができます。
他にも様々な生き物の排泄物から死骸まで海に流れることで最低限の栄養が海に供給されており、さらに洪水がときおり起きるとドッと栄養が流れ込んで海が豊漁になったりしていたことでバランスが取れていたのでしょう。
日本は1950年代から1960年代にかけて工場などの生産性向上に伴い、工場周辺の住民などの多くの人が有害物質に晒されるようになりました。この時期に発生した水俣病や四日市喘息などの公害病により国民が危機感を抱くようになると、1967年には公害対策基本法が公布・施行されました。
日本においては、規制法の整備、行政による環境省や公害等調整委員会の設置、モニタリングなどの監視の強化、環境保護運動によるの批判、企業の自主的な努力、技術革新と古い技術の置き換えなどにより、高度経済成長期の1950年代から1960年代に表面化した、四大公害病のような大規模な公害が発生することは少なくなってきている。
そして現代の下水処理施設は高度になったため、ともすれば上流の清流に匹敵するくらい綺麗らしくなりましたが、逆にその綺麗にした水が海に流れて貧栄養の海にしてしまったのです。
他にも砂防ダムの建設や護岸の補強で、自然界の栄養循環を断ち切ってしまっているのも要因の一つです。
貧栄養化が進んで、海苔の色落ちのように動物どころか植物も育たないですし。富栄養化が進みすぎると、それはそれで赤潮が発生するから難しいですね。海の栄養管理は既にやっていると思うけど、大自然を相手の調整が難しい事例なのでしょう。
※最後に
ご覧になられている記事は、内容の見直し、文章の誤り(誤字や不適切な表現)による修正で内容が更新されることがあります。
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