❖絶滅危惧種のオオワシ 鉛中毒で死ぬ 鉛弾使用禁止の北海道で被害止まらず

 17日、北海道の浦河町で、絶滅危惧種のオオワシが衰弱し、飛べなくなっているのが見つかりました。治療が行われましたが、鉛中毒で死にました。野鳥の鉛中毒死が確認されたのは北海道で今シーズン初めてです。
 苦しそうに呼吸し、時折、奇声をあげるオオワシ。
 17日、日高の浦河町で、衰弱し飛べない状態で見つかりました。血液の濃度などから鉛中毒とわかり、解毒剤を打つなどの治療が行われましたが、17日夜に死にました。
 鉛中毒は、ハンターがライフルで撃って放置したシカなどの体内に残る鉛弾の破片を、オオワシなどの猛きん類が肉と一緒に飲み込むことで発症します。今回のオオワシも、レントゲンで胃の中にライフルの破片とみられる影が2つが確認されました。
 オオワシやオジロワシなど大型猛きん類の鉛中毒死が大量に発生したことから、北海道では2000年からエゾシカ猟での鉛弾の使用が禁止されていますが、鉛中毒の被害はその後も毎年確認され、後を絶ちません。
 本州以南では鉛弾の使用は禁止されていませんが、山梨県でクマタカの鉛中毒も見つかっていて、環境省は去年11月、狩猟で使う鉛弾の使用を2025年度から段階的に規制し、2030年度には鳥類の鉛中毒を、全国でゼロにすると発表しました。しかし相次ぐ希少種の鉛中毒死を前に、関係者の中からは規制の前倒しを望む声もあがっています。

野生動物との共生を模索するという言葉をきいて久しいですが、共生どころか、人間の活動により野生動物の数が減っていっています。

非常に難しい難題ですが、人間だけが繁栄(「世界人口白書2021」によると、世界の総人口は78億7500万人)しているんです。例えば、人間が生きていくのに食料が必要になります。食料を作るのにありとあらゆる資源(水、土地など)を使用していますし、その資源は野生動物も必要とします。また、野生動物自体が人間の食料になります。人間と野生動物が戦っても勝ち目がありません。野生動物が自然に減っていくことになります。

人間の基本的活動でもそうですが、趣味による活動でも野生動物の棲息環境を脅かしているのです。

上記の例ではエゾシカの狩猟であり、エゾシカの増加による農作物の被害(被害額年間160億円)により、有害鳥獣捕獲を積極的に推進(廃棄から利用)しており、10月1日から翌年1月31日まで狩猟が解禁となります。

基本的には捕獲されたエゾシカは肉や皮も資源として使用されます。肉はジビエ(※)の代表格(日本ではシカやイノシシ)ですし、皮はレザーとして様々な製品に使用されています。

※日本ジビエ振興協会では、狩りをして手に入れた天然の野生鳥獣の食肉

そして狩猟により農林業被害を防ぐこともできますし、ジビエやレザーを安定して供給できます。

しかしながら、趣味の狩猟も含まれるため狩猟したエゾジカをその場に放置するハンターも多く、そして鉛弾を使用しているので、放置されて鉛を含んだエゾジカを食べる動物たちが鉛中毒の2次被害を受けるという構図です。

予断ですが、エゾジカ猟で仕留められるのはエゾジカだけではありません。人間も被害にあうことがあります。直近では2018年11月20日に北海道恵庭市山中でハンターの誤射による死亡事故が発生しています。誤射したハンターは49歳で死亡した方も38歳とまだ若い方です。何ともいたたまれない事件です。

このように人間の趣味による活動で野生動物に被害を与えてしまうのは狩猟だけではありません。


❖釣りによるテグスの被害

これは有名ではないでしょうか。釣り人により釣り場にテグス(※=釣り糸)を放置していくことにより、仕掛けを飲み込んでしまった鳥、釣り糸に絡まってしまった鳥が死んでしまうのです。

※天蚕糸(てぐす)とは、天蚕(ヤママユ)の繭からとれる天然の糸のこと。最近はナイロンや合成繊維のものにもいう。

本来なら釣り糸を持って帰るべきですが、余りをそのまま捨ててしまう、風で飛ばされてしまう、根掛かりや、岩なんかに仕掛けを引っ掛けて切れてしまい、そのまま放置されて野生動物が食べたり、絡まってしまうのです。

釣り糸を飲み込んでしまえば消化などはできるわけもなく、内蔵疾患を起こしてしまいますし、釣り糸が絡まると歩けなくなる飛べなくなることはもちろん脚や指を切断してしまうこともあるのです。

最近は「コロナ禍」で密にならない趣味として屋外で気軽にできる釣り人口が増えているとの事です。

ただ、釣り人口が増えているからだけとは到底思えません。この問題はかなり昔からありましたし、ベテラン釣り人でもマナーの悪い人は一定数おりますので常連も新人も関係ありません。マナーを守って釣り糸含めて仕掛けは家に持ち帰ってほしいと思います。


❖死の海にするマイクロプラスチック問題

海の汚染が、いよいよのっぴきならない問題になってきています。それが「マイクロプラスチック」と呼ばれるものです。これは、捨てされたプラスチックごみが、風や雨によって川に入り、海に流れ込んで小さな破片となり「マイクロプラスチック」なります。

そして海の生き物(代表的な生き物は魚です)がエサと間違えて「マイクロプラスチック」を食べてしまうなど、生態系を含めた海洋環境への影響が懸念されているのです。そして、魚を食べる人間に健康被害も懸念されています。

人工的に作られたプラスチックは自然界では容易に分解できません。劣化したプラスチックは細かく砕けて海面を浮遊し、一部は海中や海底に沈んでいきます。

プラスチックごみのうち、直径5mm以下の破片を「マイクロプラスチック」と呼んでいます。

研究では、海の生物がエサと間違ってマイクロプラスチックを食べてしまうと、炎症反応、摂食障害などにつながる場合があることがわかっています。

マイクロプラスチックは、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などのPOPs(難分解性、高蓄積性、有害性を持つ物質)を吸着します。

マイクロプラスチックを海洋生物がプランクトンだと思い、誤って食べることでその海洋生物の健康を害します。

健康を害した魚などの海洋生物を人間が食べることで、人間の健康への影響が心配されるのです。



※最後に
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