◆はじめに

東京ハンドメイド祭というハンドメイド専門の都市型フェスに出展することになりました。

「なりました。」というのは、私ではなく家族が申し込みましたので、お手伝いといったところなのですが、家族も者も初めての出展ですし、1人じゃとても準備が間に合わないといいますか、準備不足の抜け漏れをなくす意味でも、しっかりサポートすべきと思いまして、出展に向けて着々と準備が進めております。

初めての出展どころか、対面販売は初めてとなりますのでノウハウは一切ありません。それは想像をめぐらしたり、有識者のサイトを確認しながら、商品の準備はもちろんのこと、主催者への申請手続きや注意事項、連絡事項に目を通して、出展のおいてのルール違反はしていないか?抜け漏れはないか?、お店としてのどのようなレイアウトで出展すべきか?、ただ単に商品を置いてもセンスがありませんので、お客様が購入したくなるような魅力的な飾りつけをどのようにするのか?、もし商品が売れた場合は、どのような包装を行い渡すのか?などなど準備すべきことは沢山あります。

その中でも商品が売れた場合の決済手段としては、初心者は基本的に現金となりますので、お釣りを用意しないといけません。これは商品の価格帯によって、どの小銭を多くするのか?の配分を決めなくてはいけません。

家族の者とお金の話をしていたときに、以前にそのようなフェスをお客として回っていた時にたまたま「PayPayで払いたい。」という要望をお店で出展者の方とお客様の話をききました。出展者の方は、申し訳なさそうに「現金だけなんですよ。」という回答をしまして、結局、お客様は購入を諦められたという場面を見た話になりました。

「PayPay」の登録ユーザーが5,500万人を突破(2023年2月6日時点)ということで、2人に1人が、この決済手段をもっていますし、若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab」にて、10代・20代の男女1,386名(10代男女705名、20代男女681名)を対象にキャッシュレス決済に関する調査(2023年1月31日時点)では、約6割がPayPayの決済手段を使用していたので、PayPayでの決済はあなどれません。

そこで、(商品が全く売れない可能性は理解しつつも)PayPayを導入できないものか?と申請してみることにしたのです。

PayPay実店舗導入には開業届が必要
PayPay本登録がうまくいかない件(PayPay実店舗導入(1))でサポートセンターに連絡したところ、サポートセンター担当の方は「開業届」が必要とのことでした。

開業届を提出の仕方は調べるとして、この申請を提出するメリット、デメリットがあるはずなので、これがわからないうちは、勢いだけで申請、決意表明みたいに申請するのは大変危険だと思ったので、開業届が何者なのか?提出するとどうなるのか?を調べてみました。

開業届を申請してからサポートセンターに連絡するのが、ちょっと面倒いなぁと思っていたところに、「●●田 様【申込みが完了していません】登録の続きはこちら」の件名でメールを受信しまして、メール本文に「本登録」のボタンがありましたので、クリックしてみますと、何と!本登録のサイトにジャンプするじゃありませんか(フィッシングサイトではありません)!

もしかしたら、「開業届」を申請しなくても、そのまま上手く審査を通過してしまうんではないか?という甘い考えで、本登録を行ってみました。

そして翌日に返信があり、件名「【ご対応のお願い】PayPay株式会社 お申込み情報確認のご連絡」のメールを受信して、店舗情報が確認できる書類ということで、「個人事業の開業・廃業等届出書(控)」「求人広告、店舗のサイト」のどちらか1点を提出してほしいというものでした。

開業前ですので「求人広告、店舗のサイト」なんかあるわけありません。「個人事業の開業・廃業等届出書(控)」を提出するのが現実的というか、こちらしか選択肢がありません。

開業届とは
開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に届け出る書類のことですが、ただ、それだけなんです。

開業届は個人事業を始めたら法律上は1ヶ月以内に納税を所轄している税務署に提出しなくてはいけません。

❖所得税法(抜粋)

(開業等の届出)
第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

ただし、提出しなくてはいけない罰則はありません。そこでメリット・デメリットを比べて提出するしないを決めていきます。

❖メリット・デメリット

 ●メリット
  ・青色申告ができる(最大65万円の節税)
  ・青色申告ができる(赤字を繰り越し)
  ・事業用の銀行口座を開設できる
  ・事業用の機器を購入できる(QRコード決済やカード決済、電子マネー)

 ●デメリット
  ・扶養から外れてしまう可能性がある
  ・失業保険が受けられなくなる

 ●他
  ・タイミングを誤ると市からの補助金を貰えない場合がある
   (市が期間限定で補助金を交付している場合に限る)

メリットを見ていくと、青色申告による節税効果(65万円の控除、赤字の繰り越し)が大きいですね。

青色申告は、確定申告の種類の1つで、所得税を正しく納税するために行う申告納税制度のことです。青色申告では、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得金額を計算するために、収入金額や必要経費に関する日々の取引状況を記録した複式簿記の帳簿が必要になります。加えて、それらに伴う書類を保存する必要があります。

事前に手続きを行った上で一定の水準を満たす場合は、不動産や事業等から生ずる所得から最大65万円が控除されたり、家族の給与を経費扱いにできたりといったメリットがある青色申告を利用することができるのです。

ただし、複式簿記は、お金を「取引」と考え、お金の出入りと財産の増減を一緒に見ることができる記帳方法です。 しっかり基礎から学ばないといけない記帳できませんので、初心者が簡単にできるものではありません。

確定申告には青色申告の他に「白色申告」というものがあります。白色申告は、複式帳簿による帳簿の必要がないなど青色申告よりも対応が簡単ですが、節税メリットがありません。

こちらは、おこずかい帳の延長で記入できるので、初心者でもできますし、開業していない一般の人は、こちらを使用して申告します。

開業届を提出した場合には、赤字を3年まで繰越すことが可能です。例えば、1年目で50万円の赤字で2年目に200万円の利益が出た場合には、150万円の利益で税務署に申告することができます。

このように赤字が出た場合でも、開業届を提出して青色申告すれば節税できるのです。

特に赤字の場合は、翌年以降に事業が軌道に乗って収益が出せた場合に、赤字を繰り越すことができるので、翌年以降に節税するためにも確定申告しておかないといけません。

また、事業用の銀行口座や決済端末(カード決済、QRコード決済、電子マネー)の購入ができないといったことも挙げられます。事業活動を行うための設備が購入できないということです。

一方、デメリットでは、世帯主の健康保険と厚生(国民)年金の扶養控除から外れて社会保障が受けれなくなることが挙げられます。

ただし、「扶養の範囲内で個人事業主として開業することは可能」です。開業届と社会保障の間に関係はありません。

日本の税制には「配偶者控除」や「扶養控除」という仕組みがあり、扶養する家族がいる人は年間所得から一定額が差し引かれ、税金が安くなります。例えば、主婦が配偶者の扶養に入っている場合、年間38万円を超える所得があると、配偶者控除が受けられなくなります。

パートの主婦が夫の扶養に入れるかどうかの基準として、「年収103万円のカベ」「年収130万円のカベ」などと表現されることもあります。

パート主婦で言うところの「年収103万円のカベ」についてですが、これは、給与所得が103万円のパート主婦の場合、勤め人を対象にした65万円の給与控除を差し引くとちょうど所得は38万円になります。そこから基礎控除の38万円を差し引けば、所得は0円ということになるので所得税が発生せず、配偶者控除も受けられます。さらに配偶者の税金も安くなり、良いことづくめです。

また、上記の配偶者控除と混同されやすい制度に「配偶者特別控除」があります。これは、「配偶者の所得が38万円超76万円未満の場合、一定額の所得控除を受けられる」という制度です。つまり、38万円以上の収入がある場合も、76万円未満であれば、扶養家族としてみなす、ということです。

健康保険については、加入している健康保険組合によって扱いが異なります。個人事業主であっても「年収130万円までであればOK」という場合や「所得130万円までOK」という場合もありますし、中には個人事業主は全てNGという場合という場合もあるのです。また「年収130万円」までという条件の場合、費用は引けませんので注意しましょう。

国民年金については、130万円までの収入であれば第三号被保険者として扶養の範囲に入ることができます(扶養者の加入する厚生年金が保険料を負担します)。国民年金の扶養判定は、収入から費用を差し引くことができます。

開業届の提出
開業届の提出方法は、税務署の窓口へ直接持参する方法、書類を郵送する方法、e-Taxを使う方法の3つです。 所轄の税務署に持参して直接提出することができるので、書類について職員に直接質問したい方にはおすすめです。 また、郵送で提出することもできます。e-Tax(国税電子申告・納税システム)での電子申告も可能です。

ここでは、書き方の指南はいたしません。他に山ほど記入の仕方サイトがありますので、そちらを見てください。

後々の事を考えますと、特に開業届を提出した証明の部分で差がでます。

直接持参する方法、および郵送の場合は、あらかじめ記入しておいた控えに「受領印」を押してもらえます。これをスキャナーで取り込んで証明としてファイルとして保管します。例えば事業用の機器をインターネットで購入する場合は、そのファイルをアップロードすれば照明完了です。

これが、e-Tax(国税電子申告・納税システム)であると、そうはいきません。受領印がもらえないからです。インターネットで開業を申請すると、後で照明としてダウンロードできるのは、開業届自体です。これだけでは証明は不十分です。そこで証明となるのは「受付結果詳細画面」です。この中の「受付番号」が必要になります。

従いまして受付結果詳細画面はキャプチャして保存しておくことをオススメします。後から受付結果詳細は見れますが、国のシステムは、改修(=改悪)でいつ見れなくなるかもわかりませんので保存しておきましょう。

次は、開業届の再提出するのは、次の記事で書きたいと思います。



※最後に
ご覧になられている記事は、内容の見直し、文章の誤り(誤字や不適切な表現)による修正で内容が更新されることがあります。