2023年(令和5年)4月29日に近所に公園がオープンしました。BBQ施設、カフェテリア、そして子供が遊ぶ公園に野球場といろいろな施設ができましたが、そこに『調整池』も作られました。

『調整池』とは開発に伴って失われた保水機能を補うため、雨水を一時的に貯めて河川への雨水の流出量を調節することにより洪水被害の発生を防止する施設であり、河川管理者及び下水道管理者以外の者が設置するものです。『調整池』に貯められた雨水は調整されながら河川に徐々に流れる為、河川へ流出する水量を調整できる仕組みです。
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『調整池』とはいっても、周辺には水草を植えており、季節によりますが、トンボや燕が飛んでいたりします。そして周辺にベンチが置いてあり、のんびりと池を眺めて休むことができます。

そんな皆の憩いの場である『調整池』ですが、実はあることを危惧していました。そもそも、この『調整池』は、何と「沼」を埋め立てて造られたのですが、その「沼」は外来種の宝庫でした。アメリカザリガニ、カダヤシ、ミシシッピアカミミガメ、ウシガエル、ブルーギルと、特定外来種と呼ばれる生き物たちの宝庫だったのです。

在来種は、僅かにヌマエビやモツゴやクチボソが何とか生き抜いていた、そんな沼でした。

この「沼」には誰かが放流して、そのような状態になったとしか思えません。特にアメリカザリガニは豊富にいますので、休日などは親子ずれで釣りをしている姿をみかけたことがあります。

その後は、立ち入り禁止、釣り禁止になりました。

そんな外来種の「沼」を埋め立てて、『調整池』を作ったのですから、外来種の放流の危惧はありましたし、ウエシガエルは近くに「沼」があるので、そこから移動してくるのではと思っておりました。

そして、8月に『調整池』を見ますと、金魚が放流されていたのです。
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この金魚たちは、エサがないので、あっという間に植えた水草を食べつくします。また、せっかくトンボが産卵してヤゴが生まれても、そのヤゴを食べてしまいます。そして動きがダイナミックなので、池の泥を巻き上げて、常に水が濁った状態になるでしょう。

その後は、どうなったのでしょうか。

久しぶりに『調整池』に見に行きました。

ここ最近はようやく涼しくなりましたので『調整池』は秋の装いとなっておりました。『調整池』には、金魚やカメの放流禁止の看板があちらこちらに貼られておりました。
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『調整池』の周囲に植えられたガマが穂をつけておりました。ガマは6月~10月にきりたんぽやソーセージ、フランクフルトに似た茶色の花を咲かせます。
そして、成熟したガマの穂は、綿毛をつけた小さなタネがぎっしりと詰まっており、触るなど刺激があると一気に飛びだしてきます。 

ガマの一本の穂には約35万個の種子が入っているといわれてます。ガマの穂は小さな雌花が集まってできているのです。
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アキアカネでしょうか。結構、飛んでおりました。『調整池』が丁度良い産卵場になるんでしょうね。他にも、シオカラトンボや、ギンヤンマも見ることができました。この辺りで水草もあり、大きな池となると、この『調整池』ぐらいですので、トンボにとって楽園なのではないでしょうか。
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『調整池』をぐるっと見渡しますと、あいかわらず金魚が泳いでおります。8月に見た時よりも体長が大きくなっており、小さなコイぐらいな感じになっております。天敵がいないので、食べ放題であり、大きな『調整池』ですので、大きくなる環境は揃っております。このままですと、繁殖して増えていきますね。

そして『次がきた!』と思いました。遠目で完全に確認できないんですが、カダヤシの登場です。

カダヤシは、北米原産の外来種です。

体長は雌5cm雄3cm前後とメダカを一回り大きく、その名の通り蚊の幼虫であるボウフラを駆除するために日本に持ち込まれました。しかし、その適応力と繁殖力の高さから、現在では東北から沖縄まで分布を広げています。

北アメリカ原産で冬の低水温にも耐えることが可能で、汚濁にも比較的強く、また特別な産卵場所を必要としないので、都市近郊の水田や用水路、池沼などに定着し、近年の都市化に伴ってさらに分布を拡大すしています。

河川や水路などでは、小さな水生昆虫や魚の稚魚を食べてしまいます。特に同じ生息環境に住む魚、なかでもメダカと競合してしまうことから、問題視される存在です。

そして、カダヤシがメダカに置き換わっており、攻撃性の強いカダヤシがメダカの卵や仔魚を捕食したりするなどして駆逐しています。

カダヤシの問題は日本だけではなく世界的にも確認されていて、その影響の大きさから「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。
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誰かが放流したと思われます。カダヤシはすでに繁殖しており、大量の稚魚が親魚と一緒に泳いでおりました。

カダヤシの産卵期は4月~10月です。カダヤシは卵を産まず、雌の腹の中でふ化した稚魚が生まれるという卵胎生の魚です。

繁殖方法としては交尾により体内受精し、直接仔魚を産みます。卵胎生ですので水草などの特別な産卵場所を必要としません。1回に数十匹の子魚を産み、およそ月1回のペースで産み続けます。

これから、カダヤシは爆発的に増えてくると思います。カダヤシは金魚のように捕まりやすい大きさと色ではありませんので、一回侵入を許したら最後、完全駆除することはできません。

今は金魚とカダヤシしかおりませんが、今後も外来種の無断放流があると思います。

❖調整池に侵入した生き物と、これから侵入するであとう生き物(予測)

●金魚・・・侵入
●コイ・・・未侵入
●カダヤシ・・・侵入
●アメリカザリガニ・・・未侵入(いずれ無断放流と予測)
●ミシシッピアカミミガメ・・・未侵入(いずれ無断放流と予測)
●コグチバス、オオグチバス・・・未侵入
●ウシガエル・・・未侵入(いずれ近くの沼から移動してくると予測)
●ブルーギル・・・未侵入

非常に残念な限りです。この辺りには一部に民度の低い人間が棲んでいるのです。



※最後に
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