吸血ヤマビル、奥山から人里に拡散…シカのひづめに潜み移動か(2022年5月13日)

人の血を吸って皮膚の腫れなどを引き起こす「ヤマビル」の生息域が、栃木県内で拡大している。元々は山中に生息していたが、シカやイノシシなどのひづめに潜んで拡散したといい、近年は人里や田畑にも出没するようになった。県は独自の対策マニュアルを作成し、服装対策や忌避剤の使用を呼びかけている。
(中略)
ヤマビルは体長約1~5センチで、山林に堆積(たいせき)した落ち葉など、日陰の湿った環境を好む。人の体温やにおい、わずかな振動などを感じ取ると、しゃくとり虫のようにはい回り、首や手首などから吸血する。感染症を媒介することはほぼないが、吸血の痕から出血し、1週間~1か月は赤く腫れるなどの症状が残る。
(中略)
県が4月に作成した対策マニュアルでは、長袖や長ズボンを着用し、ズボンの裾を靴下の中に入れるなどの対策を推奨。さらに、市販の忌避剤などをズボンにスプレーするよう呼びかけている。吸血された時は、食塩や消毒用エタノールなどをヤマビルにかけると、出血などを抑えてはがすことができるという。
ヤマビル2

うわぁー。『ヤマビル』には申し訳ないですけど気持ち悪いですね。私も1回だけですがヤマビルにやられたことがあります。

『ヤマビル』の何がいけないのか?といいますと、まず姿形が駄目ですね。そしてウネウネの動きもいけませんし、何といっても血を吸うんですからね。ただ吸われていても軽くパニックになりますが、血を吸って太った姿が、えげつない姿をしてますので、完全にパニック状態になりますね。

そして一番すごい能力が、人間を狙って(動物が呼吸する際に発する二酸化炭素に反応して)足元から這い上がってきて、服のすこしの隙間を狙って入り込んで血を吸う能力です。そして血が固まらない物質(※)を出しながら血を吸いますので、血を吸われていることに全く気が付かないのです。

※吸血時に麻酔効果、血液を固まらせない効果がある「ヒルジン」という物質を出すため、皮膚感覚が鈍くなり、気づかないうちに血だらけになります。

◆基本情報
名称   : ヤマビル
最大全長 : 2~5cm(伸びると7cm)
寿命   : 3~5年
活動期  : 4~11月
移動速度 : 1分に1m
被害   : 吸血
自衛   : ヤマビル忌避剤を足元につける
吸血時  : タバコの火を付けたり塩をかけたりするとすぐ取れる
       塩の結晶と飽和食塩水(もうこれ以上溶けない状態の塩水)
繁殖   : ※欄外
棲息場所 : 落葉の下の湿気の多い場所(里山)
餌    : 動物の血


『ヤマビル』は雌雄同体だが、他の個体との交接が無ければ産卵できないと考えられています。 産卵は5月~10月に行います。

なお、『ヤマビル』は吸血後産卵可能な状態となり、1個体の『ヤマビル』から1から9個の「卵のう」(卵の塊)を産み、1個の「卵のう」から1から8個のヤマビルが生まれます。1回の吸血から産卵・ふ化までは約2か月を要します。

ヤマビルが里山から人里におりてきて、どんどん増えてくるのでしょうか。登山、ハイキングも最近は趣味にされている方も多いので注意が必要ですね。


❖マダニ

マダニは8本脚からなる節足動物で、昆虫ではなくクモやサソリに近い生き物です。一般に家の中に住むダニ(イエダニやヒゼンダニなどの微 小ダニ)とは違って固い外皮に覆われ、大きさは吸血する前のもので約3~4mm、イエダニといった微小ダニ(大きさ は約0.2~0.4mm)の約8~10倍に相当します。

日本に分布するマダニのうち、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどの約20種類が犬に寄生します。

マダニは、吸血するために地上1m位の植物の葉陰で野生動物や人を待ち伏せして、その体に付着します。そして比較的やわらかい部位の皮膚に咬み付き、セメント物質を分泌して固着した後に麻酔様物質の含まれた唾液を分泌し吸血します。

マダニの唾液には麻酔様物質が含まれており、咬まれた直後は気が付かないことが多いようです。2~3日すると掻痒感、灼熱感、軽度の痛みを感じる人もいますが感じない人もおり様々です。

たとえ気づかなくても、7日間ほど(10日間以上のこともあります)で飽血(満腹状態)すると、自ら離れます。

飽血したメスマダニは、地上に落下して産卵を開始。2~3週間の間に2,000個~3,000個の卵を産み、その生涯を終える。

マダニに噛まれますとセメント物質で固着したマダニは除去しづらく、皮膚科での処置が必要となる場合があります。また、マダニが媒介する感染症も存在します。


❖ノミ

ノミは、世界中に約2000種類が生息し、犬や猫だけでなくヒトにも寄生します。日本では、主にネコノミが犬や猫の体表に寄生します。

人畜に寄生するのは一部ですが、ノミ類は世界に分布する約2000種のすべてが吸血します。

ノミは、通常1~6日間で卵から孵化して幼虫になり、2度の脱皮をした後、蛹から成虫になります。ノミの成虫は、光や熱、二酸化炭素に反応して動物の体表に寄生します。

動物に寄生すると8分以内に吸血を開始し、36時間~48時間以内に産卵(1日平均30個)します。その後も体表上にとどまり、吸血と産卵をくり返して、通常1~2カ月で一生を終えます。ノミを簡単に駆除できない理由となっています。


❖(番外編)ナミチスイコウモリ

中南米(南米はほぼ全域)に生息しており、動物の血液を摂食するコウモリです。。哺乳動物から吸血する唯一の種類です(吸血するのは世界で3種類で他2種類は鳥類から吸血)。

なお、ほとんどのコウモリは虫を食べたり花の蜜を吸うだけで、吸血することはありません。

吸血の方法は、主に家畜の足などにかみそりのような門歯で傷をつけて、傷口から他の吸血動物同様に血液の凝固を唾液の成分で防ぎつつ、舌で舐め取ります。他個体は吸血のためにつけた傷を次々に再利用するため、コウモリの数に比してつけられる傷は見た目よりは多くありません。

コウモリが血を吸う量は少なく、獲物を殺すことはありません。コウモリの体には驚異的な武器が備わっていて、マムシのように獲物の体温を感知でき、驚くほど上手に走ったりジャンプし、そして、食事から30分以内に獲物から摂取した血液の水分の半分を尿として排泄できます。

チスイコウモリのメスは、不運にも獲物にありつけなかった仲間のために吐き戻した血を分け与える習性があります。これは緊急事態に対処する保険契約と言われていましてチスイコウモリは2晩続けて食事ができないと餓死してしまうからです。

また、ほかのメスに血を分け与えたことのあるメスは、血を与えたことのない自己中心的なメスに比べて、自分が腹を空かせているときに多くの血を分けてもらえるそうです。「持ちつ持たれつ」「ギブ・アンド・テイク」の関係なのですね。



※最後に
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