情報処理安全確保支援士を合格しました。

この情報処理技術者試験の中で「~士」と付くものは、情報処理安全確保支援士だけでして、総称して「士業」という職業の俗称なんだそうです。

そして「士業」は原則として資格ごとに、法律に定められた「独占業務」を有しているのが特徴でして、住民基本台帳法に基づいて、戸籍や住民票など、職務上必要な場合において職務上請求を行う権限が認められている「弁護士」「司法書士」「弁理士」「税理士」「社会保険労務士」「行政書士」「土地家屋調査士」「海事代理士」職業8つを「8士業」と呼びます。

「情報処理安全確保支援士」は、この中に割って入るわけでもありませんし、資格による独占業務を有しているわけでもありませんので、前出の説明はあまり意味がないんですが、「士業」の中に入るような資格の「格」が上がればいいのになぁとも思います。

「士業」でない「情報処理安全確保支援士」ですが、サイバーセキュリティ対策を推進する人材の国家資格です。サイバーセキュリティ対策の重要性が社会的に高まる中で、それを担う人材の育成・確保のために、『国家資格』が誕生しました。「登録セキスぺ」と呼ばれております。

この「登録セキスぺ」のメリットはIPA(情報処理推進機構)のホームページを見てもらいたいと思いますが、メリットといえるような感じではないとの印象です。

しかしながら「登録セキスぺ」になるには、一般社会で問題ない人物でないと登録できないわけでして、それは次の条件です。

登録セキスペに登録できない人

 一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者

 二 次のいずれかの罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
 (一)情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第五十九条、第六十条又は第六十一条
 (二)刑法(明治四十年法律第四十五号)第百六十八条の二又は第百六十八条の三
 (三)不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第十一条、第十二条又は第十三条

 三 情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第十九条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

 四 精神の機能の障害により情報処理安全確保支援士の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

 ※登録後に精神の機能の障害を有する状態となり、登録セキスペとしての業務の適正な実施が著しく困難となったときは、欠格事由に該当するため経済産業大臣に届出が必要です。

上記を見ますと、一般社会で犯罪を起こさなければ登録できる資格ということです。「士業」ではないのですが、「秘密保持」の観点から、条件を満たす人物でないと登録できないとなっております。

そんな「登録セキスぺ」ですが、経済産業省令で定めるところにより、IPAの行うサイバーセキュリティに関する講習またはこれと同等以上の効果を有すると認められる講習として経済産業省令で定めるもの(「民間事業者等が行う特定講習」)を受けなければなりません(情報処理の促進に関する法律 第二十六条)。この講習は、登録セキスぺが知識・技能・倫理の継続的な維持・向上を図るために実施されています。

もちろん、この講習は有料でして、身銭をきって資格を維持しないといけないのです。

「登録セキスぺ」の更新は3年に1回です。

その更新の為に、1年の1回のオンライン講習(1回2万円)、3年に1回のIPAが行う実践講習か民間事業者等が行う特定講習(1回8万円)を受けないといけません。合計で14万円です。

セキュリティ業務を専門にしている方であれば、講習を受けることは、最新のサイバーセキュリティについての知識・技能・倫理を習得するのによいかと思います。

逆に他の業務の兼任や延長線上、知識の幅を広げたいという方であれば、14万の身銭はなかなか高いと言わざるえません。

この更新を維持する費用が負担となっており、登録者数が伸び悩んでおります。まとめると以下の理由からです。

❖情報セキスぺに登録がすすまない理由

 ・更新維持費用(3年間で14万円)が負担
 ・メリットがない(特に他の士業のように独占業務がない)
 ・罰則規定がある
 ・グローバルで使えない(CISSP※)
 ・登録期限がない(合格後いつでも登録できる)
 ・登録取り消しになっても再登録できる(試験なし)

※セキュリティ プロフェッショナル認定資格制度(CISSP)は、国際的に認定されている資格であり、この資格の保有者がセキュリティ共通知識分野(CBK)の8分野について、深い知識を有していることを証明するものです。

上記の6つの理由があり登録がすすんでおりません。

IPA発表によりますと「登録セキスぺ」の登録人数は、2022年4月1日時点での登録セキスペ人数は、合計20,253名となっています。前年から1,000人程度しか増えておりません。

そんな改善が必要な「登録セキスぺ」ですが、初めてのオンライン講習を受講してみました。

申し込み
会員専用サイトから申し込みをします。ログインIDとパスワードは登録完了後に送られてきます封筒の中にあります。

申し込みメニューがありますので、そこから申し込めば簡単に申し込むことができます。年度内3月31日までが受講危険で、いざ受講を開始しますと90日間で受講を終了しないといけません。自分の時間がとれるときに受講開始するのがいいと思います。

領収書_

オンライン講習なので、動画視聴かと思いましたが、資料読み込みでした
オンライン講習となっていましたので、てっきり動画視聴なのかと思っておりましたが、パワーポイント資料の読み込みによる講習でした。

この講習は単元が6単元ありました。

各単元のボリュームが結構あり、最後に理解度テストに合格しないと受講修了になりませんので、すっとばして見るということはできません。

資料のボリュームは満載ですので、1単元で1時間ちょっとかかる計算でした。その後の確認テストは一発で満点合格(満点以外は不合格)すれば、その単元は終了ですが、不合格であれば、再度確認テストのやり直しとなります。もちろん、問題はシャッフルされますが、同じ問題も出題されますので、覚えておけば満点に近づけます。

基本的に1日でやり切れますが、1日丸々この講習のためにスケジュールを空けておいたほうがいいと思います。数日分けても受講することは可能ですが、一気に6単元修了することをオススメします。

オンライン講習の6単元を完了した後の講習メニューです。
情報処理安全確保支援士(20220223)16_

❖まとめ

いろいろと改善が必要な「登録セキスぺ」ですが、他の士業のように、独占業務ができるような資格になるように、少しでも「格」が上がるなり、メリットがもっともっと多くなり認知されれば、登録者数も上がっていくと思われます。



※最後に
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