琵琶湖でチョウザメ捕獲、放流された可能性も(2022年5月10日)

大津市北小松の琵琶湖でチョウザメ1匹が捕獲されたと琵琶湖博物館が9日発表した。体長は約1メートルで成魚とみられる。性別は不明。人の手により放流された可能性が高く、同館は生態系に影響を及ぼす安易な行動に注意を呼びかけている。

チョウザメはチョウザメ科の淡水魚で、メスの卵巣を塩漬けにしたキャビアが有名。同館によると、過去に琵琶湖で捕獲事例は数例あるという。

捕獲された個体は6日、小型定置網(えり)にかかっているのを漁師が発見し、連絡を受けた同館学芸員がチョウザメと確認した。同館で保護しており、魚種などの識別のため個体をDNA鑑定中で、今後、館内展示や標本にすることを検討している。

学芸員によると、キャビアを製造するための養殖用の交配種「ベステル種」の可能性があるという。同種は観賞用としてペットショップなどでも購入できるといい、「大きくなった個体が手に余り、放流した可能性もある」と話している。

チョウザメ

琵琶湖でチョウザメが見つかったそうです。チョウザメは淡水魚で古代魚に分類される魚です。チョウザメの由来は、体表にある硬鱗が昆虫の蝶の形をしており「チョウ」と、全体的な形が海にいる鮫に似ていることから「サメ」とつき、「チョウ」と「サメ」が合わさって「チョウザメ」と名付けられたそです。

従いまして、サメはサメでも歯がありませんので、人を襲うことは全くありません(報道だと「低い!?」と言っています)ので、淡水域に棲んでいたとしても心配はありません。

「チョウザメ」ときけば、やはり「キャビア」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

チョウザメは30種類ほどいるのですが、キャビアを採取できるには、数種類に限れております。今回、琵琶湖で見つかったチョウザメの種類は「ベステルチョウザメ」といって、養殖されており「キャビア」を採取することが可能な種であります。

キャビア

「ベステルチョウザメ」は、日本国内で一番よく飼育されている種類で、オオチョウザメ(ベルーガ)の雌とコチョウザメ(ステルリヤージ)の雄を掛け合わせたハイブリットで、食用に改良された品種です。

観賞用としても人気が高く、最も多く販売されている種類です。

琵琶湖で産卵できる環境は限られており、琵琶湖で生まれた個体ではなく放流された個体のようです。そして、どうやらオスのようですので、キャビアをとることはできなさそうです。

ただし、お肉も美味しいらしく(私はキャビアを食べたことはありますが、お肉は食べたことありません)、他の魚に比べて良質のタンパク質が非常に多く、特にうまみ成分であるグルタミン酸、アラニン、グリシン、アスパラギン酸が多く含まれているそうで、刺身もいいですが、薄くスライスしてしゃぶしゃぶにしてもよし、厚めに切ってバター焼きにしてもよし、ぶつ切りにして漬け丼にしてもよしだそうです。

人は襲うことはありませんが、琵琶湖に棲む小魚やエビ、貝などを食べてしまう可能性があり、生態系への影響が懸念されており、識者は『飼うのであれば最後まで飼ってほしい。』と呼び掛けています。

◆基本情報
名称   : チョウザメ
最大全長 : 1m(世界最大のオオチョウザメは8mを記録)
飼育環境 : 淡水
価格   : 1匹1,500~15,000円(ヤフオク)
       琵琶湖で見つかったベステルチョウザメは4,000円程度
寿命   : 20年~100年(種類によって150年)
水温   : 5~28℃
混泳   : 単独飼育、同種なら混泳可能
飼育   : 難易度は高い
繁殖   : 難易度は高い(卵生)
棲息場所 : 水底
餌    : アカムシ、アミエビ、人工飼料(ミニキャット、チョウザメ専用エサ)


❖ニジマスと同じに商用としての放流し、キャビアを採取

「チョウザメ」ときいて「キャビア」を採取するために放流して自然に増やしてしまうという手もひょっとしたら『アリかな?』と思ってしまいました。

代表的な例が「ニジマス」です。

ニジマスの分布域としては、カムチャツカ半島から北アメリカ大陸西岸(太平洋岸)のアラスカ、カナダ、アメリカ合衆国西海岸およびメキシコ北西部の一部です。

日本には、明治時代の1877年に、アメリカのカリフォルニア州から養殖目的で導入されました。
そこから100年以上の年月をかけ、日本、特に北海道の自然水系にゆっくりと定着していったと言われています。

ニジマス

従いまして、ニジマスは外来種なのですが、日本の「外来生物法」ではニジマスは「侵略的外来生物」には指定されていますが、これは「特定外来生物指定」のように輸入、販売、譲渡、放流など規制の対象にはなっておりません。何も制限がないと言っていいのです。

これには訳があり、ニジマスは重要な観光資源であり、日本の経済活動に貢献してくれる資源であることが広く認知されている魚です。

日本におけるニジマスの歴史は長いですし、ニジマスが完全に定着してしまっている河川への放流が繰り返されていることも事実です。

そして養殖や管理釣り場の経営など、その河川に生息するニジマスで生計を立てている方も多くいらっしゃいます。

これと同じにチョウザメもキャビア採取目的で放流してしまい、経済活動に貢献してもらうということもありなのかなと思います。

日本の「外来生物法」に対する考え方は、自然第一でなく、経済活動第一なので、そうであれば、そういう考えもありなのかなと思ってしまうのです。



※最後に
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